2022.03.12

CARS

コチラは何年待ちか? レクサスのフラッグシップSUV、LXの新型にクローズド・コースで試乗した。

納車まで数年待ちという300系ランドクルーザーと基本を同じくする、レクサスLXは販売台数の実に半数が中東地域という、ある意味で特異なクルマだ。そんな日本の物差しで測りきれないLXの新型にチョイ乗りしてみた。自動車ジャーナリストの高平高輝がリポートする。

万全の走破性と高い洗練度


実物は想像していたほどの魁偉ではなかった。むしろ、広大な砂漠や荒涼とした原野の中では、このぐらいの迫力がなければ頼りなく感じられるのかもしれない。何と言ってもレクサスLXはそんな過酷な舞台で頼りにされるクルマなのである。



2021年10月にワールドプレミアされたが、その舞台に選ばれたのはサウジアラビアとアラブ首長国連邦だった。ご承知の通り、中東地域がレクサスLXの最重要マーケットだからであり、年間ざっと3万台販売されるうちのほとんどが海外市場向けだ。それも中近東諸国だけでおよそ5割、それにロシアと北米を加えると9割に上るという。狭い日本の道であれこれ言うのは筋が違う。とはいえ、場所は富士スピードウェイ内の特設コースのみ、どこにでも出かけて行って無事に帰って来ることができるという能力のほんのひとかけらを垣間見ただけ、ということをご了承ください。

SUVが主力のレクサスのフラッグシップであるLXはもともと海外が主戦場であり、国内発売されたのは実は最近のことだ。初代は1996年発売で、RX/ハリアーよりわずかに早いレクサス初のSUVだった。その後2005年にレクサス・ブランドが本格的に国内展開されたが、LXは未導入のまま(2代目がランドクルーザー・シグナスとして一時販売された)、国内市場に投入されたのは3代目がマイナーチェンジを受けた2015年夏のことだった。



14年ぶりに生まれ変わった4代目のパワーユニットは従来の5.7リッター自然吸気V8(377ps/534Nm)と8段ATに代えて、3.5リッターV6ツインターボ+10段ATに一新された。415psと650Nmのスペックは新型300系ランドクルーザーに搭載されているものと同一ながら、LXはこのガソリン・ターボのみで、新開発のV6ツインターボ・ディーゼルは設定されていない。

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