2022.03.10

CARS

電気と氷は相性がいい! 最新の日産車を氷の上でテストする!!

冬の恒例行事となっている日産の冬季試乗会。昨年はコロナ禍で開催が見送られたが、今年は無事に実施され、話題の日産車が氷上走行でお馴染みの長野県にある女神湖に集められた。 エンジン編集部新井がリポートする。

EV4WDの意外な底力


試乗車のラインナップには、日産車の頂点に立つGT-Rの姿もあったが、今年の主役はノートとノート・オーラ、さらにその4WD仕様だ。なかでも、目玉は「e-POWER 4WD」を搭載した4WDモデル。リア・アクスル上に追加したモーターで後輪を駆動する機構自体は先代ノート4WDと同じだが、モーターの出力を4.8psから68psへと実に14倍以上へと強化することで、先代の発進アシスト用から全速度域で4WDの利点を活かせる本格的な電動4WDへと大きな進化を遂げた。

こちらは前輪駆動のオーラ。モーターと姿勢安定制御装置の巧みさのおかげで、氷の上でも想像以上にいい走りをみせる。

まずは前輪駆動モデルから試乗をスタート。駆動力をきめ細やかに制御しやすいモーターの特性と日産の制御技術の賜物か、速度さえ見誤らなければ、前輪駆動モデルでも歩くのもままならない氷の上をすんなりと走らせることができた。

しかし、4WDに乗り換えるとあ~らビックリ。ひと言で表すと安心感が違う。発進性能が優れるのは当然ながら、コーナーリングの、とくに加速態勢に入る後半での振る舞いが落ち着いていて好感触。前輪よりも後輪が先にスライドしないような駆動力制御を採り入れているので、後輪が適度にスライドして旋回を助けているわけではないのだが、4WDの方が舵が効く感じを受ける。駆動力の一部を後輪が受け持つことで、前輪の負担が減り、その分を旋回のために使うことができるからだろう。また、4WDは後輪もエネルギー回生を行うため、回生による制動力が4輪に効き、アクセレレーターをオフにしたときの挙動もより安定していた。これは発進アシスト専用だった先代のノート4WDにはなかったメリットだ。

さらに制動で目から鱗だったのが、回生力を強めることでワン・ペダル運転もできる「B」レンジの存在。慎重な操作が求められる雪上や氷上では、制動のためにアクセレレーターからブレーキ・ペダルへ脚を移動させる動作も舗装路に比べてゆっくりになりがち。そんなときにBレンジを選んでいれば、アクセレレーターを放した時点で回生に因る緩やかな制動が始まるので、ブレーキ・ペダルを踏むまでに前輪駆動よりも速度が低下し、制動に余裕ができる。もちろん、これは前輪駆動仕様でも得られる効能だが、4WD仕様の方が回生力は大きく、さらなる効果が得られるのだ。

後輪用モーターの出力向上により新しいノートの4WD仕様が得たものは十分に実感できた。4WD車としてひと皮剥けたのは間違いない。しかし、それ以上に感心したのはモーター駆動と滑りやすい路面との相性の良さだ。緻密かつ素早い駆動力制御のおかげでエンジン車よりもコントローラブルだった。これはエンジン車の中では優れた制御能力を有するGT-Rでも叶わない。電動化は地球だけでなく、滑りやすい路面にも優しかった。

文=新井一樹(本誌) 写真=日産自動車



(ENGINE2022年4月号)

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