2022.05.09

CARS

すでに完成されているグランツーリスモの新境地 アウディRS e-トロンGTに5人のモータージャーナリストが試乗!【2022年エンジン輸入車大試乗会】

アウディRS e-トロンGT

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2022年上半期の注目モデル34台を大磯プリンスホテルの大駐車場に集め、38人のモータージャーナリストがイッキ乗りした恒例の大型企画、エンジン大試乗会。EV攻勢を急速に強めているアウディのフラッグシップ・モデル、RS・e-トロンGTには、高平高輝、桂 伸一、小沢コージ、西川 淳、島下泰久の5人のジャーナリストが試乗した。

RSの名を冠した高性能バージョン

アウディ初となるスポーツ・タイプEVであり、アウディの電気自動車のフラッグシップでもあるe-トロン GT。“e-トロンGTクワトロ”と高性能版の“RS・e-トロンGT”の2モデルが用意され、車両前後に配置された2つの永久磁石シンクロナス・モーターがそれぞれ前輪と後輪を駆動するフルタイム4WDシステムを持つ。今回の試乗車である“RS・e-トロンGT”は、0-100km/h加速が3.3秒。最高出力598ps(ブースト時646ps)、最大トルク830Nm。バッテリーの総容量は93kWhで、国内仕様では150kWの充電出力を許容する。航続距離(WLTC)で最大534km。全長×全幅×全高=4990×1965×1395mm。ホイールベース=2900mm。車両重量=2347kg。車両本体価格1799万円。




BEVの方が完成度が顕著!? 洗練度が素晴らしい/高平高輝


BEV(バッテリーEV) ラインアップを急拡大中(2024年までに15車種導入予定という)のアウディの現在のフラッグシップEVがe-tron GTで、その高性能版がRS e-トロンGTである。ポルシェ・タイカン同様「J1」と呼ばれる専用プラットフォームを採用、駆動用バッテリーの総電力量は93.4kWhで航続距離はWLTCモードで534kmという。前後2基のモーターを持つ「クワトロ」で、オーバーブースト時の最高出力は475kW(646ps)、最大トルクは830Nmと凄まじく、タイカンの最高性能版ターボSの2.8秒ほどではないが、0-100km/h加速は3.3秒、最高速はBEVとしては異例の250km/hに達する超高性能車だ。のみならず、自動車としての洗練度が素晴らしいのはいかにもアウディだ。アダプティブ・エアサスペンションを備えるRS・e-トロンGTは、速度を問わず、路面を問わずほぼ完璧にしなやかでフラットな姿勢を保ち、ラフな素振りは一切見せない。実はBEVの方が完成度の違いが顕著に表れるのではないか。高価だが、モノが違う。

フォーミュラカーをイメージさせる“モノポスト”デザインは、操作性を高めるとともに、包み込まれるような一体感を実現。ハニカムパターンが施されたシートは、オプションのRSデザインパッケージレッドのもの。

V12サルーンも形無しになるほど現状最強の存在/桂 伸一

それにしても、ストレス・フリーである!! バッテリーEVで走るこんな上質なスポーツ・サルーンが生まれた日には、V12もV8ツインターボを搭載するプレミアム・サルーンも形無しだ。音もなく、と言っても市街地で接近を知らせるための疑似音を発しつつ、歩くように滑らかな低速から、アクセルを踏み込めば瞬間に弾かれた猛ダッシュまで、いともカンタンに繰り広げる。それを至って静かな、それこそ「静寂」と言っても過言じゃない室内で受ける優雅なくつろぎの乗り味。そう、静かさとは高級である。それはまず基本的に動力系が発生する音が無音に近いことからくる。そして、モーターを制御するインバータが発するノイズの代わりに、近未来映画の浮遊する乗り物のような疑似音を出している。タイヤを含むロードノイズや走行風からのノイズが発生していながら、それをシャットアウトするボディ/シャシーの高い遮音性も高いレベルにある。バッテリーを床に敷き詰めた低重心から生まれるハンドリングと、クワトロ4WDによる動力性能と安定性は現状最強の存在だと思う。


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