藤島 強いて言えば、停止寸前のブレーキのコントロールは、素のマカンが扱いやすいと思いました。街乗りする機会が多いなら、素の方がいいのかな。
佐藤 明らかに乗り心地はすごく良くなったと思います。カイエンもそうでしたけど、登場当時はポルシェが造るSUVだから、スポーティでなければ、っていう考えが透けて見えましたよね。それでちょっと私はマカンに手が出せなかったんだけど……。でも今では、座っても乗ってもちゃんとポルシェではあるんだけど、それでいてSUVとしての快適性は大きく進化している。藤島 出してみたらユーザーのニーズとは違って方向転換をしたかもしれない。でもだからといって、けっしてぬるくなったわけじゃない。佐藤 そうそう、熟成を重ねて、洗練された感じかな。藤島 そう考えると今が買い時?
――次のマカンはEVになると、すでにポルシェは明言しています。佐藤 世の中のEV化を否定はしないし、実際に乗ると個性もあって、いいところもあるけど、コロナ禍や戦争で混沌とした今、ここ、で選ぶクルマとして考えると……。藤島 こういう世の中だとマカンがより魅力的に見えてきますよね。純内燃エンジン車として、最後の最後まで手を抜かなかった、エンジニアの想いも感じられますし。――最後に、2人の“推し”は2台のどちらでしょう? ここまでの話しぶりからすると、やっぱりフジトモさんが素のマカンで、クミさんがGTSですか?藤島 でもクミさんの言う通り、乗り心地の良さだとか、高い次元での操縦性とパフォーマンスをバランスさせているGTSのことを考えると、ポルシェにもヒエラルキーはしっかりあって悩ましい。ポルシェはそうじゃないですけど、最近はある程度の高性能車を買わないと、ブランドならではの乗り味が得られないクルマも多い気もしますし。佐藤 とはいえ、どんなにコストをかけても、やっぱり元が良くないといいものにならない。素のマカンもGTSも基本的な方向性は同じだから、パワーをおさえて素のマカンを選び、その分足まわりを充実させたり、お洒落な色合いを選ぶ手はありですよ。ポルシェって、それがいかようにもできますからね。▶「ポルシェのおすすめ記事」をもっと見る話す人=佐藤久実+藤島知子 司会とまとめ=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦
■ポルシェ・マカンGTS駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動全長×全幅×全高 4726×1927×1596mmホイールベース 2807mm車両重量(前後重量配分) 2020kg(前軸1140kg:後軸880kg)エンジン形式 水冷V型6気筒DOHCターボボア×ストローク 84.5×86.0mm最高出力 440ps/5700-6000rpm最大トルク 550Nm/1900-5600rpmトランスミッション 7段自動MTサスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/エアサスペンション(後) マルチリンク/エアブレーキ(前後) ベンチレーテッド・ディスクタイヤ(前) 265/40R21タイヤ(後) 295/35R21車両本体価格(OP込) 1188万円(1516万2000円)■ポルシェ・マカン駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動全長×全幅×全高 4726×1922×1621mmホイールベース 2807mm車両重量(前後重量配分) 1870kg(前軸1030kg:後軸840kg)エンジン形式 水冷直列4気筒DOHCターボボア×ストローク 82.5×92.8mm最高出力 265ps/5000-6500rpm最大トルク 400Nm/1800-4500rpmトランスミッション 7段自動MTサスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイルサスペンション(後) マルチリンク/コイルブレーキ(前後) ベンチレーテッド・ディスクタイヤ(前) 235/55R19タイヤ(後) 255/50R19車両本体価格(OP込) 754万円(1111万2000円)(ENGINE2022年5月号)