2022.05.11

CARS

F1由来の電動ターボで覚醒 新型メルセデスCクラスにAMG登場

メルセデスは欧州で新型CクラスにAMGモデルの「C43・4マチック」を追加した。注目は、メルセデスAMG・SL43に続いて搭載された先進的なダウンサイジング・ユニットだ。

モーターで過給をアシスト

C43に積まれる2.0リッター直4のM139l型はA45Sなどに採用されるM139型の縦置きバージョンと呼べるユニット。ただし、A45S用の横置き仕様とはターボチャージャーが異なる。F1の技術を応用した電動ターボで、エンジンに圧縮空気を送るコンプレッサーと排気エネルギーからターボの推進力を生み出すタービンを繋ぐ軸にモーター48V電源で駆動されるモーターを追加。これにより、排気が十分に送り込まれる前から過給を始めたり、過給圧を常に維持することができるので、レスポンスを改善し、低回転域でのトルクが向上する。このモーターに発電機能を付加するとF1に採用されている排気エネルギーで発電を行う「MGU-H」となる。



最高出力は先代の3.0リッターV6を上回る

出力はSL43用よりも27ps/20Nm強化され、最高出力408ps/6750rpm、最大トルク500Nm/5000rpmを発生。3.0リッターV6ツインターボを積む先代の390ps/520Nmに対しては、最大トルクは若干下がったものの、最高出力は向上している。

また、このユニットには48V電源のベルト駆動スターター&ジェネレーターの「RSG」が備わる。RSGはマイルド・ハイブリッドとして14psの一時的な動力補助を行ほか、アイドリング・ストップ後の再始動時のスムーズさやコースティング機能で効率を高めることにも寄与する。



セダンの0-100km/h加速は4.6秒

トランスミッションは9段ATだが、流体トルクコンバーターの代わりに湿式クラッチを用いる「AMGスピードシフトMCT」を採用。軽量化と、イナーシャ低減によるスロットル入力へのレスポンスの向上を実現している。4WDシステムは前後駆動力配分を31:69とリア寄りにすることで、ダイナミックなハンドリング特性を生んでいる。

ボディ・バリエーションはセダンとワゴンが設定され、0-100km/h加速はセダンが4.6秒、ワゴンが4.7秒。いずれも3.0リッターV6ツインターボ積む先代よりも0.1秒短縮している。最高速度はリミッターで250km/hに制限されるが、「AMGドライバーズパッケージ」を装着すると265km/hにアップする。



4輪操舵を標準装備

シャシーはフロントのステアリング・ナックルやジョイントを専用設計し、4輪操舵や可変ダンパーを標準装備。ホイールは18インチが標準仕様で、19インチと20インチをオプションで用意する。

インテリアはナッパレザーのステアリング・ホイールに、各部の走行機能切り替えや「AMGダイナミックセレクト」の走行モード選択を行うスイッチを装備。メルセデス・ベンツのインフォテインメント・システム「MBUX」にはデータ・ロガーが組み込まれ、速度や加速度、舵角やブレーキ・ペダルの作動状況など80以上の項目を1秒あたり10回記録する。ディスプレイのグラフィックはAMG専用となり、中央ディスプレイにはAMGダイナミックセレクト用のショートカットが配置される。

先代モデルより2気筒減り、排気量も縮小したが、動力性能は向上し、さらに燃費も改善。AMGに持続可能性をもたらすニューモデルといえそうだ。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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