2022.07.03

CARS

世界にたった1台の驚きのアストン・マーティン! 3年ぶりに開催された歴史あるヒストリック・カーのコンテストに集まった必見のヒストリックカーたち!!

「コッパ・ドーロ」を獲得した1979年アストン・マーティン・ブルドッグ。

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イタリア・コモ湖畔を舞台にしたコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステが3年ぶりに初夏に開催された。今年の栄冠に輝いたクルマ、そして時代の変化がもたらした参加車の特徴とは?

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審査員投票で選ばれたブガッティ57S

今年は5月21~22日に開催されたコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ。審査員投票によるベスト・オブ・ショーには、1937年ブガッティ57Sが選ばれた。パリのカロスリ「ファン・フォーレン」によるカブリオレ・ボディは、当時同業者が傾倒した“火炎派” といわれる華美な造形と訣別。ナイフに例えられるエッジの効いたラインを特徴としている。エンジンは旧オーナーのGM副社長によって強力なビュイック製に換装されていたが、近年オリジナルに戻された。コンテストが93年にわたり築いてきた格式に照らし合わせれば、こうした挑戦的、かつ数奇な経緯をもつ同車の選択は十分、納得のいくものだ。



いっぽうで今年は、従来のヴィラ・デステでは馴染みの薄かったモデルが目立っていた。たとえば「グランドホテル・ヴィラ・デステの150周年」部門には1959年キャデラック62が参加。「300km/hの壁に挑戦したパイオニア」部門の選外佳作賞には、1971年シトロエンSMが選ばれた。当時、ロールス・ロイスに対抗できるほどの最高装備をもっていたキャデラック62に、パラシュートを備えたスピード記録車仕様のシトロエンSM。それぞれに魅力、個性のあるクルマだが、こうした量産車がエントラントとなる時代がいよいよ到来したのだ。



イギリスの前衛デザイン

時代の変化を感じさせるのは、一品製作車でも同様である。その代表は招待者投票による「コッパ・ドーロ」を獲得した1979年アストン・マーティン・ブルドッグ。かつてある優良顧客のために製作されたものだが、従来のブランド・イメージから乖離していたこともあって、近年はあまり取り上げられることがなかった。イタリア以外の前衛デザインが評価されるようになったのは好ましいことだ。

美術の世界では、たとえ秀逸な作品であっても、時代の変化を待たねば評価の対象にならないことが多々ある。クルマの世界も同じ。かつて「生産台数が多すぎる」「前衛的すぎる」として敬遠されていたクルマが、ヴィラ・デステでもようやく脚光を浴びるようになった。ヒストリックカーの世界はまだまだ興奮に満ちている。



文=大矢アキオ Akio Lorenzo OYA  写真=Akio Lorenzo OYA/Mari OYA

(ENGINE2022年8月号)

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