アンダー550万円の“ひと味違う”クルマ選び! クルマ好きがやっぱり気になるのは手頃なサイズで切れ味のいいハンドリングのスポーツ・モデル。今回は、GRヤリス、ルノー・メガーヌR.S.、アバルト595のいわゆるホットハッチと呼ばれる2ボックスの車体にとびっきりパワフルな心臓を組み込んだ3台を選び、モータージャーナリストの島下泰久と藤原よしお、そしてエンジン編集部員の村上、上田の4人で比較試乗した。どれも“ひと味違う”どころか“まるで違う”、超個性的なクルマたち、その前篇をお送りする。
漂う本物感がたまらない!
上田 新車で買えるアンダー550万円の“ひと味違う”クルマ選び、今回はクルマ好きならやっぱり気になるホットハッチで揃えました。
村上 まるで個性の塊みたいな前輪駆動と4WDのスポーツカーが集まったね。
上田 GRヤリスRZ“ハイ・パフォーマンス”と、長期テスト車でもあるルノー・メガーヌR.S.、そしてアバルト595の3台ですね。
村上 とりわけGRヤリスは楽しかった。感心したよ。よくこういうクルマができたなって思うくらい。
藤原 ラリーが好きでラリーを知り尽くした人が作ったクルマって感じ。
島下 そもそもWRCに復帰するタイミングで開発がはじまったものだから、ルーフの高さも、3ドアも、エンジンマウントの位置だとかも全部WRCのレギュレーションをもとに形が決まっているんです。
上田 まるでランチア・ストラトス!
藤原 そういう理詰めの部分と、ラリー好きゆえのエンスー味が珍しく伝わってくる日本車だよね。そこはかとなく漂う本物感。おじさんがこぞって買ってガレージに入れる気持ちがわかる。
村上 これこそ究極の価格を越えた価値あるクルマだよ。
島下 直列3気筒1.6リッターターボもすごく本物感のあるエンジンですよね。何しろWECやインディを手掛けたエンジニアが関ってますから。
村上 イギリスやイタリアとかのクルマ好きに大ウケなのもわかるよ。
藤原 加速感とか、エンジン・レスポンスとか、演出もうまい。
島下 4WDの駆動配分の切り替えなんか特にそうでしょ。あれも意味があってやっている。ノーマルモードは60:40、スポーツモードは30:70、トラックモードは50:50。じゃあ、どれが速いんです? って聞いたら「ドライバーによります」って。
村上 普通50:50が一番速いっていうよね。
島下 でもWRCチャンピオンのオィット・タナックは30:70が速いんですって。完全に向きを替えてから踏む人は、リアに駆動が掛かる方がいい。でも大半の人は50:50の方が速い。だからまさにドライバー次第、乗り方次第だと。
上田 そういうマニアな話が余計にそそる!
村上 加えて何よりいいと思うのは、見た目が安っぽくないこと。後ろから見た姿なんてすごく立派。
上田 ルノー・サンク・ターボみたい。実戦的な後付け感がいい。
藤原 前輪駆動のCVTでいいから、あの形が欲しいというのもわかる。
島下 あれだけ車体がいいからCVTでも良く走るんですよ。ガチガチのボディにカーボンルーフで、リアのマルチリンク・サスは同じですからね。しかも10段CVTだし。
村上 流石に装備がさらに充実するGRMNヤリスは550万円じゃ買えないけど、今回の試乗車の456万円は安い。これで十分ですよ。
上田 車重は軽いし、パワーはあるし、ミシュラン・パイロットスポーツまで履いてるし。
村上 運転も難しくない。でも上手い人が乗れば、もっと上に行ける。そういう懐の深さはある。
藤原 GR86に比べると、乗りこなす技量を求められますよね。86は教科書的なハンドリング。一方ヤリスは人を選ぶ感じがあった。
村上 そういう意味じゃ86は下手だと遅い。ヤリスは下手でもそこそこ速く走っちゃう。
藤原 動きといい、ディテールといい、ラリー好きの琴線を刺激しまくるクルマですね。
島下 しかも競技参加率が高いんですよ。これで出てみたいっていうことでジムカーナやラリーの人口が増えたみたい。やっぱみんなカッコいいクルマでやりたいんですよ。
■一方、ニュルブルクリンクで一番速いFF車、メガーヌR.S.とイタリアのアバルト595はどうだったのか。そして4人がそれぞれ選んだクルマはどれか? 後篇に続く!
◆後篇はこちらから!
ブチ切れ感が凄い! GRヤリス、アバルト595、ルノー・メガーヌR.S.にイッキ乗り!! アンダー550万円の“ひと味違う”クルマ選び【後篇】
話す人=島下泰久+藤原よしお(まとめも)+村上 政(ENGINE編集長)+上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=柏田芳敬
■ルノー・メガーヌR.S.
駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4410×1875×1465mm
ホイールベース 2670mm
トレッド(前/後) 1620/1600mm
車両重量 1480kg
エンジン形式 水冷直列4気筒DOHCターボ
排気量 1798cc
最高出力 300ps/6000rpm
最大トルク 42.8kgm/3200rpm
トランスミッション 6段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション(前) マクファーソンストラット+コイル
サスペンション(後) トーションビーム+コイル
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ(前後) 245/35R19
車両本体価格(税込) 494万円
■GRヤリスRZハイ・パフォーマンス
駆動方式 フロント横置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 3995×1805×1455mm
ホイールベース 2560mm
トレッド(前/後) 1535/1565mm
車両重量 1280kg
エンジン形式 水冷直列3気筒DOHCターボ
排気量 1618cc
最高出力 272ps/6500rpm
最大トルク 37.7kgm/3000-4600rpm
トランスミッション 6段MT
サスペンション(前) マクファーソンストラット+コイル
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン+コイル
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/通気冷却式ディスク
タイヤ(前後) 225/40R18
車両本体価格(税込) 456万円
■アバルト595
駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 3660×1625×1505mm
ホイールベース 2300mm
トレッド(前/後) 1415/1410mm
車両重量 1110kg
エンジン形式 水冷直列4気筒DOHCターボ
排気量 1368cc
最高出力 145ps/5500rpm
最大トルク 21.4kgm/3000rpm
トランスミッション 5段MT
サスペンション(前) マクファーソンストラット+コイル
サスペンション(後) トーションビーム+コイル
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ(前後) 195/45R16
車両本体価格(税込) 320万円
(ENGINE2022年8月号)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
advertisement
PR | 2024.11.21
LIFESTYLE
冬のオープンエアのお供にするなら、小ぶりショルダー! エティアムか…
2024.11.21
CARS
日本市場のためだけに4台が特別に製作されたマセラティMC20チェロ…
PR | 2024.11.06
WATCHES
移ろいゆく時の美しさがここにある! ザ・シチズン の新作は、土佐和…
2024.10.25
LIFESTYLE
LANCIA DELTA HF INTEGRALE × ONITS…
2024.11.19
WATCHES
エンジン時計委員、菅原茂のイチオシ 世界限定1200本! グランド…
2024.11.01
CARS
これは間違いなく史上最速のウルスだ! プラグイン・ハイブリッドのウ…
advertisement
2024.11.16
こんなの、もう出てこない トヨタ・ランドクルーザー70とマツダ2 自動車評論家の渡辺敏史が推すのは日本市場ならではの、ディーゼル搭載実用車だ!
2024.11.15
自動車評論家の国沢光宏が買ったアガリのクルマ! 内燃エンジンのスポーツカーと泥んこOKの軽自動車、これは最高の組み合わせです!
2024.11.15
GR86の2倍以上の高出力 BMW M2が一部改良 3.0リッター直6ツインターボの出力をさらにアップ
2024.11.16
ニスモはメーカーによる抽選販売 日産フェアレディZが受注を再開するとともに2025年モデルを発表
2024.11.16
【詳細解説】320iセダンと420iクーペがドライバーズカーである理由を、自動車評論家の菰田潔が語る なぜBMWは運転が楽しいクルマの大定番なのか?