2022.08.20

CARS

1万8000台を受注して景気のいい軽電気自動車、日産サクラに公道で試乗! 果たしてその走りやいかに

日産初の軽電気自動車、サクラ。

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前回は日産のテストコースという限られた条件だったが、今回は言い訳ができない公道での試乗となる。果たして、日産初の軽電気自動車はどんな走りを見せたか。

充電ケーブルはオプション


7月上旬時点(発表は5月20日)で受注およそ1万8000台と景気のいい話題で注目の新型軽自動車日産サクラは、同社の軽ハイト・ワゴンであるデイズと巧妙に部品共用を図りながら、新しいボディと名前を与えたBEV(バッテリーEV)軽自動車である。

明るく上品なサクラの室内。試乗車は最上級グレードのGにオプションのプレミアム・インテリア・パッケージ付き。レザー・ステアリング・ホイールも含まれる。


今回は上級グレードの「G」に試乗することができた。サクラにはG(294万300円)、X(239万9100円)、S(233万3100円)の3グレードが設定されているが、このうちのSは装備を簡略化した法人向けで、一般向けのカタログには記載されていない。

実質130万円台から手に入る、と喧伝されているが、それはいわゆる国の補助金55万円に東京都の補助金45万円を加えた金額を単純に差し引いたもの。多くの自治体では補助金は5万円程度だし、さらに充電ケーブル(サクラではオプション)や自宅への充電器設置などの費用が必要となることを忘れてはいけない。実際には人によって“乗り出し価格”が異なるのが電気自動車の現状である。

サクラの場合、200V・3kWの普通充電では8時間で満充電となり(100Vでも可能だというが充電時間は長くなる)、急速充電では車両側は30kWまで対応していて、約40分で80%まで充電できるというが、基本は自宅での普通充電を前提としているのだ。

駐車場をスタートする時にはバッテリー残量98%で航続距離136kmとのメーター表示で、横浜市内と首都高を少々、合わせて27km走行して再び駐車場に戻った時は66%と86kmと表示されていた。それまでの平均電費は6.9km/kWhと出ていたから、まあ妥当な数字だろう。えっ、180km走れるんじゃないの? とEVに馴染みがない人は驚くかもしれないが、180kmはあくまで特定モードによる一充電走行距離であり、そのざっと2割引きぐらいが実力である。

巧妙にフロア下に搭載されたバッテリーのおかげで室内/荷室スペースへの影響はない。


出来栄えは上々

街中や首都高でまったく不安なく軽快に走る。64psの最高出力はほかの軽自動車と同じだが、最大トルクは195Nmとターボを積む軽自動車の2倍ほどもあるから、動き出しは力強く静かである。街中での加減速コントロールもしやすく、首都高速へのランプでも、普通の軽自動車のように目いっぱいスロットル・ペダルを踏みつけなくてもスムーズに余裕をもってこなせるし、高速域での伸びも実用上不満はない。モーター走行の利点が大いに活かされているようだ。いわゆるワンペダル・ドライブは独立したスイッチで選べるが、ほかにBレンジ、さらには3種のドライブ・モードもあり、もう少し整理して使いやすくして欲しかったのが正直なところ。またモードの切り替えスイッチがダッシュ右下の見にくい場所にあるのも要検討である。

乗り心地は硬めだが基本的にフラットでまずまずのレベル。荒れた路面や段差などでは意外に大きな突き上げとバタつきが感じられるのは、増えた車重とそれに対応した脚まわりゆえに仕方ないところだろう。電池をフロア下に搭載するために、リア・サスはデイズのトーションビーム式から先代デイズの3リンク式リジッドに変更されているのだ。その分商用バンのようなしっかりとした安定感はある。

出来栄えは上々、あとは個人の使い方にマッチするかどうか。今度こそ費用を含め丁寧な説明と売り方が求められるところだ。

文=高平高輝 写真=望月浩彦



(ENGINE2022年9・10月号)

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