2022.08.27

CARS

ロールス・ロイスからマクラーレンに転身して、アジア太平洋を統括するマネージング・ディレクターに戦略のポイントを聞いた

ロールス・ロイスからマクラーレンに転身したポール・ハリスさん。

全ての画像を見る
マクラーレンのアジア太平洋・中国のマネージング・ディレクターに就任したポール・ハリスさん。前職ロールス・ロイスでの仕事はとても良い経験になったというポールさんにマクラーレンで生かせることは何かを聞いてみた。

マーケティング一筋35年の実績

アジア太平洋地域、および中国市場はマクラーレンにとってさらに大きな成功が見込まれる市場。ラグジュアリーカー・メーカーにおけるマーケティング部門で、実に35 年間もの経験を持つポール・ハリス氏に対する期待は相当に大きい。



「35年の間に、さまざまなメーカーでマーケティングの仕事に携わらせていただきました。その中でも最も良い経験になったのは、12年間を過ごしたロールス・ロイスでの仕事です。誰もが認める世界最高のブランドで仕事ができたことは、私自身にさまざまな知見を与えてくれ、すでに十分な経験を持っていると、自分自身は考えております」

ラグジュアリー・カー・ブランドのロールス・ロイスとスポーツカー・ブランドのマクラーレン。この両社のマーケティングには大きな違いはないのか。

「マクラーレンとロールス・ロイスというブランドには、ある種の類似性があると考えられます。それをふたつに分けて考えるのならば、ひとつはいずれも各々の世界において頂点を極めるブランドであるということ。そしてもうひとつはそれを求めるカスタマーのプロフィールやキャラクターがとても似ているということですね。カスタマーのほとんどはマルチガレージ・カスタマーであり、スポーツカーとラグジュアリー・カー、あるいはSUVを複数台所有することは普通です」

それではマクラーレンを新たにブランディングするうえで、最も大切なことは何だとハリス氏は考えているのか。

「まずは市場の成熟度を考えなくてはなりません。たとえばアジア・パシフィック市場において、日本は最も成熟した市場であり、我々のプロダクトにとって最良の環境を与えてくれます。加えて世界トップの技術を持つ自動車メーカーが多数存在する国ですから、カスタマーもまた最新の技術や性能に向ける目はとても厳しい。その一方でイギリスの製品に共感する心も持っておられます。

最新モデルのPHEVモデル、アルトゥーラはマクラーレンというブランドの間口を日本においてもより広げるプロダクトといえるでしょう。将来PHEVからBEVへの進化があるのかどうかは、現段階ではまだコメントを避けたいと思いますが、性能を最大限に高めることは、スポーツカー・メーカーにとって、なにより重要な仕事であることは間違いありません。すべては市場の動向にかかっています。今後の成長にぜひ期待してください」

文=山崎元裕 写真=マクラーレン・オートモーティブ

マクラーレン初のシリーズ生産ハイブリッド・スーパーカーのアルトゥーラ。1395kgという軽量ボディに585馬力3リッターV6ツインターボのドライサンプ式アルミエンジンと95馬力のモーターを組み合わせたハイブリッド・システムを搭載。0-100km/h加速はわずか3.0秒。最高速度は330km/h。

(ENGINE2022年9・10月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement