2022.10.23

CARS

ただ速いだけと思ったら大間違い! アウディの末っ子SUV、Q2のスポーツ・モデル、SQ2の隠れた魅力とは?

アウディSQ2

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コンパクトなボディにゴルフRと同じパワートレインを持つSQ2。車名の「S」はもちろん「スポーツ」を表しているはずだが、実は「スマート」の意なのではと思うほど上質な走りを見せた。モータージャーナリストの森口将之がリポートする。

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高性能なだけじゃない理由

アウディSQ2を、単に高性能なQ2として考える人もいるだろう。しかし知人がQ2とフォルクスワーゲン(VW)Tクロスを比較検討していて相談を受けた経験を持つ僕は、もっと広い目でこのクルマを見てもいいと思っている。



具体的に言えば、同じ2リッター直列4気筒ターボ・エンジンと4WDを搭載したVWグループ内の車種の中でSQ2を見るということだ。全長4220mm、全幅1800mm、全高1525mmというボディ・サイズは、Bセグメントでありながら長さと幅はCセグメントのVWゴルフに近いわけだし。

ただ同じパワートレインを積むゴルフRは、日本への導入可能性は低そうであり、VWブランドではCセグメントSUVのTロックRが車格的に近い。そしてアウディではゴルフと同等のハッチバックとしてS3スポーツバックがある。

価格を見ると、SQ2が620万円なのに対し、TロックRは626.6万円、S3スポーツバックは674万円。たしかにほかの2台はCセグメントではあるけれど、グループ内ではもっとも安い4WDスポーツと言うことができるだろう。

すべての面で高得点

試乗車は150万円近くになるオプションが装備されていて、ブラックアウトしたフロント・グリルや黒と赤の2トーンが鮮烈なシートもそこに含まれる。ジャーマン・スポーツらしいメリハリの効いた出で立ちだが、シックな仕立ても選べるので安心していただきたい。



そう書きたくなったのも、パワートレインのしつけがとても上質だったからだ。基本的に同じエンジンを積むゴルフGTIが、おそらくは意図的に昔ながらのスポーツ・ユニットっぽさを残したのとは対照的に、アウディらしく洗練された回り方に終始していた。

最高出力300ps、最大トルク40.8kgmを豪語するので、もちろんフルスロットルを与えればかなり速いが、そこに蛮勇はなく、令和時代にふさわしい質の高い速さ感だった。



ドライブ・モードで「ダイナミック」を選べば排気音が大きくなり、ステアリングは重さを増して、4WDはリア寄りの配分をしてくれるけれど、それでも上質感は失われない。ホイールがノーマルの18インチから19インチになっていたこともあって、脚まわりは硬めだが、不快には感じられず、むしろ腰高感の一切ないシュアなハンドリングのほうが印象に残った。

前にも書いたようにボディ・サイズはゴルフと同等なので、取り回しに不満は感じない。高さはSUVとしては低めで、それがハッチバックと比較したくなるほどシュアな走りを生み出す源泉にもなっているのだが、一方で乗り降りのしやすさやキャビンの開放感では、背の低いハッチバックに対する明確なアドバンテージを感じる。

あらゆるファクターで高得点をマークするソツのなさがアウディらしいし、このトータルバランスを上質感とともに味わうことができるのもブランドイメージにふさわしい。だからこそ「速いQ2」という部分だけ切り取って見るのはもったいないと思ったのである。

文=森口将之 写真=郡 大二郎



(ENGINE2022年11月号)

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