2022.10.07

CARS

狙いはアメリカの富豪が、それともアラブの王様か BMWから大型SUVクーペの「XM」が登場

BMWが内燃機関エンジンを搭載する車種としては久々のブランニュー・モデルとなる「XM」をワールドプレミアした。

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BMW・X7のクーペ版

M3やM5、X5Mなどと同じ「Mハイパフォーマンス」と呼ばれるBMW・Mモデルの最強モデル群に属する大型SUV。「X7」のクーペ・バージョンと言えるモデルだ。パワートレインはプラグイン・ハイブリッド(PHEV)のみで、Mハイパフォーマンスとしては初の電動化モデルとなる。最も近いライバルはアウディRS・Q8だが、BMWとしてはランボルギーニ・ウルスやアストン・マーティンDBX707といったスーパースポーツ・メーカーのSUVもターゲットとして見据えているはずだ。



目を惹くロングルーフ・デザイン

スタイリングは「X2」や「iX」に似たルーフの低いフォルムを採用。フロント・マスクはやや横長の巨大なキドニー・グリルの横にマイナーチェンジ版のX7に似た2段構えのヘッドライトを備える。フロント・グリルから続く2本のボンネット・バルジもiXに見られるデザイン要素だ。

ボディ・サイドではベルトラインのモールとウインドウ・モールがボディ後方で繋がり、BMWのアイキャッチであるホフマイスター・キンクを強調するラインを描く。このデザインはMモデルのルーツである「M1」のサイド・ウインドウのグラフィックに着想を得ているらしい。リアでは縦に2本ずつ並んだ左右4本出しのテールパイプが特徴的だ。

ボディ・サイズは全長5110×全幅2005×全高1755mm。ベースとなったX7と比べると全長が若干短く、全高も低い。なおホイールベースはX7と同じ3105mmだ。



Mらしいスポーティかつ豪華なインテリア

インテリアはダッシュボードやドア・トリムなどにヴィンテージ・レザー、センターコンソールなどにはマット・カーボンといった特徴的な素材を用いる。シート・レイアウトは2列5人乗りで、荷室容量は527〜1820リッター。インテリアはM仕様のグラフィックを映す2枚の大型ディスプレイを組み合わせた最新のカーブド・ディスプレイを備える一方、通常のBMWモデルで姿を消しつつあるATのセレクト・レバーは残されている。

前席には、サイドサポートを効かせつつ、長距離走行時の快適性にも考慮した「Mマルチファンクションシート」を装備。後席はフルに3人が乗車できるシートを備える。アルカンターラのヘッドライナーは立体的なプリズム模様に仕上げられ、100個のLEDがイルミネーションとして用いられている。オーディオはハーマンカードン製が標準で、バウワース&ウィルキンスの1500Wシステムがオプションで用意される。



ランボルギーニ・ウルスSと同等の出力

パワートレインは4.4リッターV8ツインターボと8段ATのギアボックスに内蔵された電気モーターを組み合わせたPHEV。エンジンの出力は489ps/650Nm、モーターの出力は197ps/280Nm、システム合計では653ps/800Nmを発生する。グロス29.5kWh、ネット25.7kWhの駆動用リチウムイオン・バッテリーは床下に搭載。車両重量はDIN値で2710kgだ。

0-100km/h加速タイムは4.3秒で、最高速度は標準仕様が250km/h、「Mドライバーズパッケージ」装着車が270km/h。モーターのみでの走行も可能で、その際の最高速度は140km/h、航続距離は82〜88kmとなっている。



多彩な電子制御が走りをアシスト

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマルチリンク式で、スチールのコイル・スプリングと電子制御の可変ダンパーを装着。リアのスプリングは長いトラベルと高いレートをあわせ持ち、トラクションと快適性の両立を図っている。また、2分割したスタビライザー・バーの中間に48Vモーターを設置してレートを変化させるアクティブ・スタビライザーも採用。さらに、アクティブ4輪操舵装置の「インテグラル・アクティブ・ステアリング」がMモデルとしては初導入されている。

タイヤ・サイズはフロント275/45R21、リア315/40R21がスタンダードで、22インチと23インチをオプション設定。22インチには専用設計のスポーツ・タイヤがセットされる。

現状では単一モデルだが、このあとエンジン出力を585ps/750Nm、システム総合出力を748ps/1000Nmにアップさせた高出力モデルの「XMレーベル・レッド」が登場する予定もあるという。

生産はX5やX7の製造も行っているアメリカ・スパータンバーグ工場で12月に開始する。販売開始は2023年春からとなる予定だ。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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