フォード・マスタング(1966年型)とミュージシャンのYUさん。
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クルマ好きのゲストを迎え、「これまでに出会ったクルマの中で、人生を変えるような衝撃をもたらしてくれた1台」を聞くシリーズ。今回は、4人組バンド、I Don't Like Mondays.のヴォーカルYUさん。真っ黒な初代フォード・マスタング・コンバーチブルがとてもよく似合う。クルマ、音楽、ファッションを融合したカッコ良さを提案していきたいという。陸の海賊!?が登場今月のゲストはミュージシャンのYUさん。「I Don’t Like Mondays.」という4人組バンドのヴォーカルだ。現在、テレビで放送中の大人気アニメ、『ワンピース』の主題歌を歌っている。歌声は読者のお子さんの方がよく知っているかもしれない。ドロロロ……という太いV8サウンドとともにスタジオに現れたのは、漆黒のフォード・マスタング・コンバーチブルだ。「ワンピースって海賊の漫画でしょう? なんか、陸の海賊という感じですね」スタジオのスタッフが私に囁いた。私もなんてロックな登場だろうと思いながら、マスタングを動かすYUさんを見ていた。黒いマスタング、黒いシャツ、腕のタトゥー、ステアリング・ホイールを握る指のリング、さらにスタジオに響くV8サウンドが、ひとつのスタイルを作っている。そして、それはカッコ良かった。写真にも眼光鋭く、身体全体からエネルギーを発しているようなYUさんが写っている。ところが、インタビューでクルマの話になると、YUさんは破顔一笑した。「あれは1966年型です。4年ほど前に購入しました。初代マスタングでATのコンバーチブルをずっと探していました。なんと言ってもフォルムが素晴らしい。あと、エンジンの鼓動ですね。289キュービック・インチ、排気量4.7リッターV8の振動がたまらなく好きです」初代マスタングに憧れたのはニューヨークで暮らしていた学生時代だったという。「2つ上の兄に教えてもらったんだと思います。兄も大のクルマ好きで、ふたりで“いつかはマスタングに乗ろう”と言っていたんです」学生時代はクルマのほかに、音楽、ファッション、アートなどにも興味を持ったというYUさん。「ファッション、アート、音楽などを知れば知るほど、初代マスタングはカッコイイと思うようになりました。内外装ともにアートだ! と。日本でミュージシャンになるつもりはなかったんですけど、将来はエンターテイメント系の仕事をして、マスタングに乗るぞ! とは思っていました」YUさんが所属するバンド、「I Don’t Like Mondays.」のメンバーが山本寛斎のショーに出演したり、ヨージ・ヤマモトのショート・フィルムの音楽監修を務めたりするなど、ファッションと親和性が高いのは、ニューヨークでの生活があったからかもしれない。「アメリカのエンターテイメントはファッションとすごく密接なんです。日本はメジャー・シーンでファッションとシンクロしているミュージシャンって、意外と少ない。日本の音楽業界とファッション業界を繋ぐ架け橋のようなバンド活動ができればいいなと思っています」音楽、ファッション、そしてクルマが融合したカッコいいスタイルを提案していきたいというYUさん。もちろん、マスタングに乗るときも音楽は欠かせない。「USBポートを付けました。クルマのなかでは最近の音楽やヒット・チャートを聴いています。勉強も含めて。それから、自分たちが作った音源をかけて、どういう聴き心地なのかをチェックすることもすごく多いですね」自宅では主にアナログ・レコードを聴くというので、驚いた。それも古いジャズだという。「ピアニストで一番好きなのはビル・エヴァンス。サックスならチャーリー・パーカーが好きです。音楽って、アルバム・ジャケットや紙の匂い、ターン・テーブルに盤を乗せることなども含めて楽しいんですね。手間がかかることが楽しいというのは、マスタングにすごく似ていると思います。真空管アンプもエンジンも暖まるまで調子が出ないとか」ライフスタイルへのこだわりもアメリカでの生活があったからだろうか。
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