2023.01.13

CARS

史上最強の4気筒エンジン+モーターは驚異の680馬力! 新時代の到来を告げるメルセデスAMGのスポーツ・サルーン、新型C63に試乗!!

メルセデスAMG C63 S Eパフォーマンス

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ついにV8ユニットから4気筒へダウンサイジングした新しいAMG C63。はたしてどれほどの変化を見せたのか。アスカリ・サーキットで試乗したモータージャーナリストの大谷達也がリポートする。

プラグイン・ハイブリッド+4WDの威力

アスカリ・サーキットの長い右コーナーを抜けているとき、タイヤのグリップが薄れていく感触がはっきりと伝わってきた。低速コーナーではブレーキング時にタイヤからスキール音も聞こえてくる。つまり、タイヤのグリップが突然スパーンと抜けてしまうのではなく、十分なマージンをもってドライバーに知らされるのだ。



「これだったら安心して攻められる」

私は心のなかでそう呟くと、次のストレートに向け、深々とスロットルペダルを踏み込んだ……。

メルセデスAMG C63 S Eパフォーマンスは、従来のV8に替えて直4エンジンを搭載したハイパフォーマンス・カー。同じAMGのA45Sにも搭載される「史上最強の4気筒エンジン」をベースに、F1パワーユニットとよく似たターボチャージャーと電気式スーパーチャージャーを一体化した過給器を組み合わせて476psと545Nmを発揮。さらにリアアクスル上には204psと320Nmを生み出す電気モーターを搭載し、エンジン・パワーともどもAMGパフォーマンス4マティック+により4輪を駆動するプラグイン・ハイブリッド・モデルに生まれ変わったのだ。ちなみに、CクラスのAMGに4WDが採用されるのは初めてのことだ。



ハイブリッド化されたパワーユニットは、V8を積んでいた従来型とは比べものにならないくらい静粛性が高い。それはエンジンがかかっていないときだけでなく、エンジンが始動してからも同様。ただし、無音に近いのは低回転域だけで、4000rpmくらいからは「シュワーン」という、抜けがよくて精度感の高いサウンドを奏で始める。しかも、音量は控えめ。それは「ドロドロ」という迫力あるエンジン音を響かせたV8とは、まるで異なる世界観だ。

乗り心地も洗練されていて快適。とりわけ、コンフォート・モードではサスペンション・ストローク初期の動きが滑らかで、路面からゴツゴツした印象を伝えないところが嬉しい。しかも、そのまま車速を上げてもフラットな姿勢を崩さない。この手のクルマだとコンフォート・モードではフラット感が不足するモデルが少なくないなか、これは実に貴重な味つけである。



ターボと電気式スーパーチャージャーだけでなくハイブリッド・システムでも武装するパワートレインのレスポンスは鋭敏そのもの。それもドライバーの期待に反してオーバーシュートすることもなく、いつでも思ったとおりのパワーを生み出してくれる。しかも、その強大なパワーが4輪を介して路面に伝えられるのだからトラクション性能にも不満はない。これがサーキット走行での高いスタビリティに結びついているのはいうまでもなかろう。

圧倒的なパフォーマンスだけでなく、限界領域の扱いやすさや静粛性、優れた快適性まで備えたC63S Eパフォーマンスは、どちらかといえば荒削りな印象の強かったこれまでのAMGとは別物の、新時代の到来を告げるモデルといえる。

文=大谷達也 写真=メルセデス・ベンツ

C63 Sはサルーンとステーションワゴンの設定があり、0-100km/h加速はいずれも3.4秒。最高速は280km/hと270km/h。

(ENGINE2023年2・3月号)

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