AMGによる完全独自開発により、生まれ変わったSL。専用設計のプラットフォームに、F1由来の技術を使った直4ターボを搭載した新型の走りはどうか。箱根で試した。エンジン編集長のムラカミがリポートする。先祖返りと思わせる要素がたくさん!1952年の300SL登場から70年、メルセデス・ベンツのフラッグシップ・スポーツカーSLがAMG専用モデルとして生まれ変わった。これで7代目(コードネームR232)となった新型SLで第一に注目すべきは、2001年に登場した5代目(R230)以来リトラクタブル・ハードトップとなっていたルーフが、従来のソフトトップに戻されたことだろう。それにともない、1989年登場の4代目(R129)以来となる2+2のシート・レイアウトも復活している。
そのほか、300SLのレースカーに由来する下側が拡がった輪郭と14本の垂直ルーバーを持つAMG専用のフロントグリルや、ボンネットにはっきりと見て取れる2本のパワードームなど、先祖返りと思わせる要素が随所に見てとれる。しかし、その一方で、AMGが完全新設計したアルミスペースフレームを使った高剛性プラットフォームをはじめ、ボディやシャシーの至る所に最新技術が投入されているのも特徴で、要するにクラシックとモダンを高度に融合させたモデルと言えばわかりやすいだろうか。その象徴のひとつと言えそうなのがエンジンで、今回試乗したSL43は、なんと1954年登場の190SL(R121)以来となる4気筒を搭載している。ところが、それには量産車としては世界初となるF1由来のエレクトリック・エグゾースト・ターボチャージャーが組み合わされているのだから、最先端も最先端。決して2リッターの4気筒ターボだからと言って侮れないシロモノなのだ。これは簡単に言うと、排気の流れで回るまで、電気モーターでタービンを駆動してターボラグを消すもので、そのおかげで、すべてのエンジン回転域でレスポンスの速さが大きく改善されるというのが謳い文句だ。
果たして、このクラシック・モダンなSLはどんな走りを見せてくれるのか。これまで乗った歴代SLの走りを思い出しながら、美しいブルーの試乗車に乗り込んだ。
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