2023.01.30

CARS

ヤフオク7万円・走行約16万kmのシトロエン、ボロボロのインテリアはちゃんと元に戻るのか?(後篇)【エンジン編集部員のシトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#15】

エンジン編集部員が連載でお届けするシトロエン・エグザンティアの修理奮闘記(今回は座面にご注目)!

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エンジン編集部のウエダが2021年6月、シトロエン・エグザンティアをヤフー・オークションで購入。価格は7万円、走行距離が約16万kmで、内外装は傷だらけのクルマながら、板金塗装代50万円、部品代70万円、工賃80万円の、計200万円を投じて仕上げることに……。インテリア修復の後篇となる15回目のリポートは、破れて穴の空いてしまっていた運転席との奮闘の模様と、読者からのうれしいお手紙について。

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オリジナルのシート生地がない……

ダッシュボードが組み上がるのと前後して、カークラフトが着手したのが運転席の修復作業だった。乗り降りの際にどうしても体重を掛けてしまいがちなサイド・サポート内部のウレタンが崩壊し、表皮のグレーの生地と内部のウレタンに隙間ができ、さらに互いに擦れることで大きな穴が空いていたのだ。助手席も同様のダメージがあるが、損傷具合は軽微だったので取り急ぎ清掃で済ませ、運転席の修復に注力することになった。

以前もご紹介した、サイド・サポート部分が破れてしまっている運転席。

まず運転席を取り外して見ると、外側サイド・サポートの周囲は見事に崩壊した黄色いウレタンだらけだった。フロアのあちこちにまで散っているのに加えて、シート・レールや電動調整式シートのスイッチの隙間にも入り込み、粘着性のあるグリスとくっついてべたつき、ひどい有様だ。ダッシュボード同様、ここもまた分解したらとにかくまず清掃、である。



取り急ぎフロアが綺麗になると、今度は運転席シートそのものの清掃と分解である。点検しながら作業を進めると、左側の座面と背面を繋ぐボルトの樹脂カバーはねじ止め部分が割れて外れ、背面裏側のポケットも無理に引っ張ったせいか大きく破れていた。おまけに電動調整式シートのスイッチが付くベース・プレートも、見事に2つに割れてしまっている。

この時代のシトロエンのシートは丁寧に表皮を張っているクリップを外していけば、生地とウレタンが分離できる。幸いヘッドレスト、内部フレーム、電動のシートの調整機構自体に異常はなかった。まとめると、運転席の問題は以下の通りである。



1. 右側サイド・サポートの生地が破れて大小2つの穴が空いている。
2. 内部ウレタンの崩壊(主に右側サイド・サポート部)。
3. 左側の座面と背面を繋ぐボルトのカバーが割れ、外れている。
4. 背面裏側のポケットの縫製が裂けてしまっている。
5. 電動調整式シート・スイッチのベース・プレートの割れ。

エグザンティアを含む、1990〜2000年代のシトロエンの見事な乗り心地には、ハイドロニューマチックをはじめとする足まわりの機構やセッティングに加え、シートも大きく貢献している、と僕は思う。座面は膝の裏まで届くほど大きく、背面はやや寝そべる姿勢で上体を肩までしっかり支えてくれる。この秀逸なシートを、むやみに補修してしまって乗り心地を損ねるのは、どうしても避けたかった。センスよく車体色の青をわずかに用いた中央部とサイドのグレーのデュオ・トーンとなる生地も、現代の素材に置き換えてしまうことで、肌触りなどが変わるのも絶対に嫌だった。

とはいえオリジナルの生地は見つからないし、たとえ部品取り車があったとしても、運転席側は同じように傷んでいる可能性が高い。海外にまで目を向けても、この時は同じ柄の生地やシート単体の売り物は見つからなかった。近ごろではかなり高価になった初代フィアット・パンダやプジョー205GTi、ルノー5GTターボなどなら、デッドストックや再生産されたシート生地が専門店によって販売されているようだが、エグザンティアへそこまで愛情を注ぐような人は残念ながらまだいないようで、売り物としては出てこない。

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