2023.06.29

CARS

ヤフオク7万円・走行約16万kmのシトロエン、鬼門のオートマチックと油圧回路を点検整備!【エンジン編集部員のシトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#21】

ENGINE編集部員のシトロエン・エグザンティアの長期リポート。今回も膨大な修復作業中の写真に注目!

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ヤフー・オークションで7万円で落札したシトロエン・エグザンティアを、10カ月と200万円かけて修復したエンジン編集部員ウエダの自腹散財リポート。今回は2021年5月から2022年3月にかけての作業の中で、もっとも手強そうな独ZF社製のオートマチック・トランスミッションと、シトロエンならではの複雑な油圧回路と、それに関連する駆動系の整備についてご報告する。

前期型ATは掃除がしやすい

前回はオートマチック・トランスミッションのフルードを抜き取り、そのオイルパンを取り外すところで終了したが、今回はいよいよさらに内部を点検していく。



ドイツのZF社の4HP 14と呼ばれる前期型エグザンティアのオートマチック・トランスミッションには、内部のゴミを濾過するストレーナーのほか、シール・キットが用意されている。このシール・キットはオイルパンとそのストレーナーのパッキンがセットになったものだ。

まずはオイルパンを外し、中にある磁石に付いた鉄粉をきれいに除去する。鉄粉はかなりの量で、まるでハリネズミみたいだった。さらにストレーナーの周辺には残留物も見つかったが、それらを取り除いてみると、幸い全体として状態は悪くはない。この時点でシールやパッキンの交換以上の作業は不要と判断された。

購入時の試乗では、大きなショックが出たり、変速自体のスピードに遅れがあるなどの違和感を憶えるようなことはなかった。けれど、エグザンティアと同じZF製の4HP系を使っている兄貴分のシトロエンXMのオーナーたちが、オートマチック・トランスミッションの大規模修理をしたり、載せ替えたりして散財している話はかなり聞いていた。リポート車もひょっとして……と、実はオイルパンを外すまで、けっこう心配していたのである。いやはやよかったよかった。

1998年以降の後期型エグザンティアでは、オートマチックはZF 4HP 14からAL4と呼ばれる自社製のものに変更されている。ZF 4HP 14がオイルパンを外すだけでストレーナーに触れられるのに対して、AL4はさらに内部まで細かく分解を進めないとストレーナーにアクセスできず、その手間もあって、ストレーナーの交換や内部清掃がされていることは希だ。リポート車の主治医であるカークラフトでは日本の路上におけるAL4は、ZF 4HP 14よりもさらにシビア・コンディション下にあると考えており、走行1万kmごとのフルード交換を推奨しているという。

シンプルで内部の清掃も比較的簡単にできる機械式の前期型のZF 4HP 14に比べ、電子制御による学習機能やスノー・モードなどを備えた後期型のAL4は、距離を重ねていくと減速時の大きなシフト・ショックをはじめ、何かと問題が出やすい。そんなAL4でも一度ストレーナーまで分解し、清掃し、適切なオートマチック・フルードを選び、その後交換スパンさえ守っていれば、コンディションがさらに大きく悪化することは少ないという。これはカークラフトが管理しているルノーのメガーヌ2やカングー2などの4段AT、DP0(基本AL4と同じ)でも共通だそうだ。リポート車も今後は早め早めのフルード交換を心がけるつもりである。

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