2023.01.30

CARS

ヤフオク7万円・走行約16万kmのシトロエン、ボロボロのインテリアはちゃんと元に戻るのか?(後篇)【エンジン編集部員のシトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#15】

エンジン編集部員が連載でお届けするシトロエン・エグザンティアの修理奮闘記(今回は座面にご注目)!

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助手席を運転席にする

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そこでカークラフトが目を付けたのが部品取り車になっているアクティバの助手席だ。アクティバは左ハンドルゆえに助手席である右側シートの乗車率は低く、なかなか綺麗な状態だった。サイド部分のウレタンはリポート車と同じようにややへたっていたが、こちらは過去にウレタンが足されるなどの補修がされていた。

かつてのアクティバの助手席。調整は手動式で、背面も座面も中央部と左右部がU字型に分かれている。

カークラフトはオリジナルの生地が見つかるまで、とりあえずこのアクティバの助手席の座面を、リポート車に移植することにしたのだ。ファブリックの柄は違うし、形状も若干異なるから見た目は完全に変わるけれど、幸い運転席の座面になる部分である。座ってしまえばお尻の下だから、ほとんど見えなくなる。座り心地だって、アクティバは同じエグザンティアの上位グレードだ。悪くなるはずがない。

「移植する」……と、文章で書いてしまうとたったの一行で済んでしまうが、これもまたかなり手間の掛かる作業だった。アクティバのシートは電動調整式ではなく手動調整式だから、単純に座面部分だけを入れ替えるのではなく、モーターによる調整機構も組み込む必要があるからだ。

リポート車の電動調整式シートは、前後のスライドと背面の角度調整に加えて、シート座面の前後の高さ調整、背面の上下2カ所のランバー・サポート、サイド・サポートとかなりの調整カ所がある。背面部分はリポート車のオリジナルのままとしたので、前後スライドおよび座面の角度調整機構をアクティバの座面に組み込むことになった。

なんとかシートが復活

取り外されたアクティバの助手席は、まずリポート車同様に座面と背面を分離し、移植が可能かどうかの確認後、生地が取り外され丁寧に洗濯がされた。


リポート車の運転席背面とアクティバの助手席座面の合体には調整こそ必要だったが、幸い生地とウレタン以外に大きな加工は必要なかった。スイッチのベース・プレートの割れはリベットと接着剤で修復し、左側のカバーもアクティバから移植。ポケットの破れは縫い直された。こうしてなんとかシートは完成。リポート車のオリジナルの座面生地は、破れたままだけど、洗濯して保管しておくことにした。

何も変わっていない元の助手席と、座面が移植された新しい運転席に代わる代わる座ってみたが、差はほとんど感じられない。アクティバの方がスポーティな仕立てでサイド・サポートの盛り上がりがわずかに高いけれど、違和感はまったくない。もちろん、座ってしまえば座面自体は視界に入らない。

修復後のリポート車の運転席。なるべくアクティバの助手席と同画角で写してみた。撮影状況が異なるので色味がずいぶん違うけれど、座面を移植していることがお分かりだろうか。

こうして運転席はウレタンのヘタリにも、生地の破れにも気を遣わず座れるようになった。でも、将来的に状態のいいシートや生地が見つかったら、モールが付いたダッシュボードやドアの内張同様に、オリジナル通りに戻そう……。そう考えていたのだが、この長期リポートの読者から、先日なんともうれしいお手紙を頂いた。

手紙の主もかつてエグザンティア・オーナーだったそうで、運転席をレカロ・シートに交換して乗っていたが、そのまま手放してしまったらしい。結果、あまり座っていない綺麗な状態のオリジナルの運転席だけが手元に残り、長らくオフィス・チェアの足を付けて所有していたそうだ。近ごろは使っていなかったのだが、このリポートを読み、もしよければこの僕に、運転席を譲りたいという!

残念ながら中央部の生地の柄はリポート車と異なる赤みの強いものだったが、グレードは同じV-SXだったようで、電動調整機構や可倒式の肘掛けを含め、形状そのものはまったく同じ。生地には破れもないらしい。そのまま座面だけまた交換するのが一番簡単だろうが、保管しているオリジナルの座面の中央部の生地を分解して移植ができれば、完全に新車当時の姿を蘇らせることができる!

この運転席のさらなる修復については、また機会を改めてご報告したい。とりあえず、インテリアの修復はいったん完了。続いては、いよいよエグザンティアの心臓部である、約16万kmを走行した2リットルのSOHC 8バルブ・エンジンをチェックする。

■CITROEN XANTIA V-SX シトロエン・エグザンティアV-SX
購入価格 7万円(板金を含む2022年4月時点までの整備の支払い総額は213万9326円)
導入時期 2021年6月
走行距離 15万9247km(購入時15万8970km)

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=岡村智明/カークラフト

(ENGINE WEBオリジナル)

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