2023.01.29

LIFESTYLE

ライカ使いの写真家は超名門オケのヴァイオリニスト! ヴィルフリート・和樹・ヘーデンボルクさんが捉えた伝説のマエストロたち

両親も2人のきょうだいも音楽家

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世界的なオーケストラのヴァイオリン奏者がライカで撮った指揮者たちのリアルな表情。ほかでは真似のできない、彼ならではのユニークな撮影スタイルとは?

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小澤征爾やリッカルド・ムーティも


指揮台の上で楽団員と向き合うマエストロたち。展示された写真の中には、小澤征爾やリッカルド・ムーティ、故マリス・ヤンソンスといった、日本のクラシック音楽ファンの間でもお馴染みの顔が含まれる。だがこれらの写真、よくよく見てみると、被写体の表情を左側から捉えたものが多い。なぜなのか?



「僕がオーケストラで座るヴァイオリンの席が指揮者の左側にあるからです。撮影はリハーサル中に行うことが多いので、自ずとこちら側からの写真になるんですね」


こう話すのは、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のヴァイオリン奏者であるヴィルフリート・和樹・ヘーデンボルクさん。写真家としても活躍している彼の個展が、現在、東京と京都のライカギャラリーで開催されている。

スウェーデン人の父親と日本人の母親を持つ和樹さんはオーストリア・ザルツブルク生まれ。ウィーン・フィルの正団員になったのは2004年のことだ。

演奏中に撮影


ヴァイオリンは6歳で始めたそうだが、幼少時から写真にも興味を持ち、プロの演奏家になってからはリハーサルにカメラを持ち込むようになった。使用するのはライカM6と、ライカMモノクローム。一貫して「表情が豊かな」モノクロ写真にこだわってきたが、ユニークなのは彼にしかできない撮影方法である。



「撮影するのは、僕自身が演奏に参加している時が多いですね。自分のパートがある時はカメラを膝元に置いておき、休符がある時にカメラを構える。頭の中に音楽が入っていますから、次の出まで何小節あるかをカウントしながら写真を撮っていくんです。器用に思われるかもしれませんが、実は撮影中も音楽の世界から頭が離れていないので、再度、ヴァイオリンを手にした時も、スッと音楽の中に入っていくことができるんです」


生きた音楽の中で捉えた一瞬の光景。写真から伝わるライブ感、そして理想の音を追い求める指揮者たちの表情は、彼だからこそ切り撮ることができたものだろう。



実はその和樹さん、大のクルマ好きでもある。少し古いクルマが好みだそうで、2台のメルセデス・ベンツ(1971年の280SEと1989年の300E)、そしてオーストリア・シュタイアー社のトラクターを所有している。


「デザインや機械としての美しさはもちろん、エンジン音や振動さえも僕にとっては芸術。心に響く、という意味では、音楽や写真と同じですね」

■ヴィルフリート・和樹・ヘーデンボルクさんの写真展『Living Music& the never-ending pursuit of the ideal』は2023年2月28日までライカギャラリー東京とライカギャラリー京都で開催中。


ヴィルフリート・和樹・ヘーデンボルク:1977年生まれ。ヴァイオリン奏者の父親とピアニストの母親を持つ。数多くの国際コンクールで入賞後、2001年にウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団。2004年にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の正団員となる。2人の弟はチェリストとピアニストで、ヘーデンボルク・トリオとして室内楽の演奏活動も精力的に行う。2018年にザルツブルクのライカギャラリーで写真展を開催。

文=永野正雄(ENGINE編集部) 写真=阿部昌也(ポートレート)

(ENGINE2023年2・3月号)

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