2023.04.23

CARS

「電気で走ろうが、ガソリンで走ろうが、V6エンジンだろうが、間違いなく、フェラーリ!」 これが「フェラーリ296GTB」に試乗したジャーナリストの生の声だ!

フェラーリ296GTB

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2023年の注目の輸入車38台を一同に集めたエンジン大試乗会に参加したモータージャーナリスト40人が注目するクルマ! V6ユニットは120°というワイドバンク。等間隔爆発のサウンドはまるでV12のように澄んでいる! フェラーリ296GTBに乗った佐藤久実さん、島下泰久さん、渡辺敏史さんの3人は、思わず叫んだ!

異次元の体験


ルックスは、見紛うことなくフェラーリ。カッコ良き。まずはコクピット・ドリルを受けるところから始まった。ステアリングにレイアウトされたタッチ式パネルで、ハイブリッド・モードなどを設定。この辺りからスマホに慣れきった世代向けの“今どき”な感じ。そして、スタートボタンを押す。でも、吠えない……。宇宙船みたいな電子的な音がするだけ(乗ったことないけど)。チャージ・モードにすると、エンジンがかかった。そして、箱根ターンパイクに着き、元気にアクセルを踏みこむと、吠えた! ショート・ホイールベースに、リアミッドのパッケージングでハンドリングも抜群。走行中、EVモードに切り替えると、一瞬にして無音に。SF映画で宇宙船がワープするような、アリスが不思議の国に落ちていくような、(あくまでイメージです)、異次元の体験。電気で走ろうが、ガソリンで走ろうが、V6エンジンだろうが、間違いなく、フェラーリ。走りを楽しみながら、世の中が変わっても、時代に即したフェラーリらしいスポーツカーを提供してくれるのだと安心した。(佐藤久実)



ゆっくり走っても気持ちいい

改めて296GTBに乗って思ったのは、飛ばさずゆっくり走っても、深い歓びに誘うクルマだということだった。まさか、フェラーリなのに……? PHEV化によって296GTBは始動してもすぐにはエンジンはかからず、発進は電気モーターで行われる。面白いのは、それが故に却ってエンジンの有り難みが倍加している感があるということ。しかも、そのV6ユニットは120°というワイドバンクで、等間隔爆発のサウンドはまるでV12のように澄んでいるのだ。吹け上がりも豪快そのもの。電気モーターの加勢もあってレスポンスも抜群だ。ハンドリングも切れ味鋭く、クルマを操る醍醐味がこれでもかとあふれている。床が突き抜けるほどアクセルを踏み込まなくても、パワートレインの息吹が色濃く感じられ、意のままになるレスポンスが得られ、クルマとの密な一体感に浸ることができる。フェラーリは今やそんなクルマに進化したと言っていい。ゆっくり走っても気持ちいいのはナマクラになったわけではなく、むしろパフォーマンスが研ぎ澄まされた結果なのである。(島下泰久)

最新のフェラーリの文法にのっとり、中央の大きな回転計も含めてすべてがデジタル・インターフェイスによる新デザインとなったコクピット。

跳躍的進化

フェラーリにとっての稼ぎ頭であるV8ミドシップラインをV6に置き換えて電動化を施す。それは非常に難しい決断だっただろう。それを考えるとV8と電動化の組み合わせでその優位性を1000psで示したSF90が果たす役どころも色々とみえてくる。296GTBに課せられたミッションは大きく2つ。ひとつはモーターライズによってF8以前のモデルとは明確に異なる動的な利をみせること。もうひとつは新たに開発するV6エンジンの音やフィーリングといった官能面をどう担保するかということだ。フェラーリはその課題を見事に解決したと思う。内燃機ならではの発進時や中間域での線の細さは巧く補完しながら加速に確かな押し込みを感じさせるモーターの仕事量然り、そのシステムをコンパクトに纏めて従来通りの使い勝手を確保したパッケージ然り、強烈なパワーや高回転志向のフィーリングもさておき、なんといってもV6離れした伸びやかな高音を聴かせるエンジン然り。重量増をも逆手に取った見事なハンドリング含め、跳躍的進化といっても過言ではないだろう。(渡辺敏史)

リアに縦置きされる2992ccのV6は、663ps/740Nm のパワー&トルクを発生。

写真=茂呂幸正/神村聖/郡大二郎/小林俊樹

(ENGINE 2023年4月号)

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