2023.04.12

CARS

「さすがはAMG、グーの音も出ない!」 これがF1の技術でエンジン全回転域のレスポンスを激変させた「メルセデスAMG SL43」に試乗した自動車評論家の生の声だ!

メルセデスAMG SL43

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2023年の注目の輸入車38台を一同に集めたエンジン大試乗会に参加したモータージャーナリスト40人が注目するクルマ! 新しいAMGの時代の到来を予感させるメルセデスAMG SL43に乗った河村康彦さん、武田公実さん、藤野太一さんの3人は、思わず叫んだ!

新しい時代

SLって2シーターでV型のエンジンを積んだオープン・モデルでしょう? などとステレオタイプな説明をしようものなら、思い切り時の流れを感じさせられるのが今度のSL。初めて『メルセデスAMG』のブランドからローンチされるこのモデルは、狭いながらもリア・シートを備え、エンジンは何と2リッターの4気筒だ。正直、この時点でちょっと落胆の声を上げそうになってしまったものの、しかしそんな心臓がAMGのフィロソフィーである“ワンマン・ワンエンジン”という工程を4気筒ユニットに初めて取り入れたもので、しかもアドオンされるターボチャージャーもタービンとコンプレッサー間に電気モーターを組み込み、軸を直接駆動することでエンジン全回転域のレスポンスを大幅に改善したF1由来の技術を用いたと聞けば、さすがはAMGとグーの音も出ない。実際、そのレスポンスは極低回転域からシャープで絶対的な加速力には微塵の不満もない。もはや気筒数などに依存しない新しいAMGの時代がやって来たのだと、そう認めざるを得なくなった。(河村康彦)


ストイックな爽快感


「共有」というテーマでこのSL43を語ろうとした時、最初に筆者の脳裏に浮かんだのは他者との共有ではなく、メルセデスSLというモデルの世界観が、この世代にも共有されているかどうかについてだった。1954年に登場した190SL以降、豪奢で快適なオープンモデル、所謂「プロムナード・カー」としての王道を構築してきたSLだが、AMG主導で開発されたという新型は、明らかにリアル・スポーツ志向を感じさせる。特に今回試乗したSL43は、守旧派SLファンには眉を顰められそうな4気筒ターボであることさえも逆手にとって(?)、実に爽快な走りっぷりを披露。純然たるSLでありながらも、同時にAMG-GTロードスターの正統な後継車であると実感させてくれた。ちなみに、今回はEPCイベントを担当する女性スタッフが、研修として筆者の試乗に同行された。朝一番の試乗枠ということもあって、氷点下の寒さの中、ソフトトップを開いてターンパイクを走らせたのだが、彼女の愉し気な表情にはSL43のストイックな爽快感を共有できたことが見てとれた……、と思いたい。(武田公実)

中央に配されたiPadのような大型ディスプレイがインテリアの特徴だ。


スポーツカーなのだ!

前から後ろから横から眺めて、シンプルにカッコ良くなった。3層構造のソフトトップを開け放ち、しっかりと体をホールドしてくれるシートに身を委ねる。凝った造形のメーターナセルがドライバーの目の前に配置されている。SLが2リッター4気筒エンジンだなんて時代を感じるけれど、最先端技術を投入するのが常であって、そんじょそこらの代物でないことは想像に難くない。始動時の音に耳をすませば4気筒であることを感じる。でも走り出してしまえばすぐに忘れる。F1エンジンに由来するという電動ターボによって、低速域から全域にわたってターボラグなしでレスポンスする。AMG謹製らしくアルミスペースフレームを新造し、前後に鍛造アルミニウム製5リンク式サスペンションを採用するだけあって、走れば走るほどこれはラグジュアリィ・カーではなくスポーツカーなのだという想いが強くなった。夢中でターンパイクを駆け上がって、頂上につくと外気温は3℃。「ハイ、メルセデス。首が寒いよ」と叫んだらそっとエア・スカーフをオンにしてくれた。もう少しオープンエアを楽しむことにした。(藤野太一)

写真=郡大二郎/神村聖/茂呂幸正/小林俊樹

◆続々公開中! エンジン大試乗会に集まった2023年の注目の輸入車38台! 参加したジャーナリスト40人のインプレッションはコチラ

(ENGINE2023年4月号)

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