2023.04.11

CARS

ライバルのハリアー、エクストレイル、ZR-Vに、今度は2.5リッター直4+モーターで挑む! CX-60のプラグイン・ハイブリッド・モデルに試乗!

マツダCX-60のプラグイン・ハイブリッド

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マツダ肝煎りの新しい後輪駆動プラットフォームを持つCX-60には、ウリである直列6気筒エンジンのほかに、電動化を見据えたPHEVも用意される。市場でも人気の高いディーゼルに対して、PHEVは優位性を示すことができるのか。モータージャーナリストの森口将之がリポートする。

ディーゼルより身軽

マツダのラージ商品群の第1弾CX-60は、昨年9月に発売されたものの、直後に試乗できたのは3.3リッター直列6気筒ディーゼル・ターボのマイルド・ハイブリッド4WDに限られていた。しかし今年に入って、プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)やハイブリッドでないディーゼル・ターボ、2WDの用意が整い、あらためて試乗会が行われた。ここではPHEV 2WDのインプレッションをお届けする。



PHEVのパワートレインは2.5リッター直列4気筒ガソリン自然吸気にモーターを組み合わせ、ディーゼルと同じトルコン・レスの8段ATを介して後輪あるいは4輪を駆動するもので、内容は欧州プレミアム・ブランドの後輪駆動ベースのPHEVに近い。日本車のPHEVでは初の縦置きパワートレインで、既存のトランスミッションを用いることも唯一となる。

システム全体での最高出力は327ps、最大トルクは500Nmで、トルクはディーゼルに少し劣るものの、パワーでは圧倒している。たしかに加速については、モーターならではの反応の良さもあり、大きな車体を身軽に動かしてくれた。





しかもパドルできめ細かい制御ができる。減速したいと思ってマイナス側を弾いていくとまず回生ブレーキが強まり、続いてエンジンが始動してエンジン・ブレーキを効かせるような感じだ。

ただ、そのときにショックが気になることもある。コーナーの立ち上がりでアクセルを踏み込んだとき、反応が遅れることもあった。こういうシーンでは常にエンジンが回っているスポーツ・モードがふさわしそうだ。エンジン音は一般的な4気筒ガソリンのそれで、上質なインテリアには6気筒ディーゼルのほうが似合っていると感じた。

加減速以外もPHEVはディーゼルとは違う。エンジンは軽いが、車体中心部の床下に駆動用バッテリーを積むので、車両重量は2tを超える一方、前後重量配分は50:50になっているからだ。



この日は比較でディーゼルのマイルド・ハイブリッドにも乗ったので違いが明確だった。ステアリングを切ったときの車体の動きは軽快で、その後は前後にバランス良く荷重を掛けたコーナーさばきで体感できた。当然ながら4WDとの相性も良い。

乗り心地も試乗車と同じグレードで比べると、ディーゼルのマイルド・ハイブリッドより80kg重いうえに重量配分が理想的なので、しっとり感は増している。でもそれはCX-60同士での相対的な話で、絶対的には一般道路でのゴツゴツ感が気になった。

今回、約半日をCX-60と過ごして、自分の気持ちとクルマの動きに一体感があり、左右方向の体の揺れが抑えられていることに気付いた。一方で上下方向の揺れは多くのクルマより尖っている。考えてみれば、人間が歩いているときに最も大きいショックを受けるのは路面からの縦方向の入力。クルマは丸いタイヤを転がしながら動くので一発の衝撃は歩きよりも小さいが、道路は平滑ではない。しかもCX-60はSUV。操縦に関係ない人を乗せる機会は多い。

6年前の東京モーターショーに展示されたコンセプトカー、「ビジョン・クーペ」のようなスポーティなモデルにこそ、この脚はふさわしいのではないかと思うようになった。

文=森口将之 写真=茂呂幸正

(ENGINE2023年5月号)

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