ヤフオク7万円・走行約16万kmのシトロエン、鬼門のオートマチックと油圧回路を点検整備！【エンジン編集部員のシトロエン・エグザンティア（1996年型）長期リポート#21】

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ENGINE編集部員のシトロエン・エグザンティアの長期リポート。今回も膨大な修復作業中の写真に注目！

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足まわりはゴムを中心に交換

足まわりに関しては主にブッシュ類を刷新した。前オーナーのストックしていた新品の前側ロア・アームはブッシュと一体だったのでそのまま入れ替えたが、リアのロア・アームやスタビライザー、ステアリング・シリンダーはブッシュのみ組み替えた。同時にボールジョイントもネジ山が駄目になっていたので交換している。

ゴムと半球状の金属でできたフロント・サスペンションのアッパーマウントは、劣化するとちぎれ、ストラットがボンネットを突き上げてしまうという、いわばエグザンティアの最大の弱点だ。けれど以前ご報告した通り、2015年の8月、走行距離10万4501kmの時点で交換されたと整備記録簿に記載があった。しかも劣化しても突き上げないよう、金属のひっかかる部分が付いた対策品のようである。

取り急ぎ、目視する限りヒビなどの大きなダメージはなかった。純正の新品部品は適価で入手できなかったので、定期的に経過観察をしつつ、LHMのホース同様、部品を探し続けることにした。

リポート車のV-SXというグレードは、シトロエンXMから登場したロール制御を行うハイドラクティブの第2世代型サスペンションが標準なのだが、同じエグザンティアでも安価なSXグレードは、歴史の長いハイドロニューマチックという、よりシンプルな足まわりとなっている。前者のアッパーマウントが世界的に入手困難になっているのに対し、後者は比較的入手がしやすいようである。

エグザンティアとずっとずっと一緒に過ごしたいなら、将来的には構造がシンプルかつ部品入手もしやすいSXに乗り換えることも、考えた方がいいのかもしれない……。なおエグザンティアのハイドラクティブ2用の、純製品番“5271.E2”と“5271.E5”というアッパーマウントは、フランスのアクティバ・クラブというオーナーズ・クラブや、東欧リトアニアのElastomer（エストマー）社で再生産品を扱っているようだ。今後どうしても適価にて純正品が入手できなければ、コンタクトを取る予定である。

そのほかステアリング・ラックのブーツ、左右タイロッド・エンド、ドライブシャフト・ブーツなどの消耗品もすべて交換。LHMタンクやABSユニット、オートマチック・オイルクーラーのOリングやシールもすべて取り替えた。

ビシっとまっすぐな姿勢に

当然、ここまで足まわりを分解してしまうと、油圧で動作する車高の再設定も必要になる。リフトでいったんクルマを持ち上げ、少し下ろしてタイヤを台座に接地させ、レーザーで計測をしつつ調整を繰り返した。車高を設定するハイト・コントローラーは車体床下にあるのでいちいち潜って作業するのは大変なのだが、こうすれば細かく丁寧に納得のいくまで調整ができる。

普通に乗っていれば車高が狂うことはそうそうないが、長く走っている間に足まわりをぶつけている可能性もなくはない。何度も調整を繰り返すことで、左右の高さはぴたりとそろい、エンジン始動後、わずかな時間で最初に後ろ側が、続いてフロント側がスムーズに上がり、車体を水平に保つようになった。

この年型のエグザンティアはある程度長い間駐車していても、車高が完全にべったりとは下がらないアンチシンク機構を備えており、通常エンジン始動から走行開始まで掛かる時間は、一年を通じて数十秒程度だ。古のシトロエンたちのように寝そべることはないが、始動時にむくむくと起き上がる感覚はちゃんとあって、そこが生き物のような、ペットのような感じで、愛らしい。

さて、カークラフトへの入庫から9カ月が過ぎた2022年3月上旬、リポート車はようやくガレージから外へ出ることができた。次回はワイパーやハイマウント・ストップランプ、タイヤなどなど残った細々した部分の整備や修復と、24カ月点検を行い、2年の車検を再取得し、久しぶりに公道復帰を果たした模様をご紹介する。いやはや本当に、本当に長かった。これでようやく第1回のリポートの、鍵を受け取った納車の時点にたどり着くのだから……。

■CITROEN XANTIA V-SX　シトロエン・エグザンティアV-SX
購入価格　7万円（板金を含む2022年4月時点までの整備の支払い総額は216万9326円）
導入時期　2021年6月
走行距離　15万9247km（購入時15万8970km）

文＝上田純一郎（ENGINE編集部）　写真＝カークラフト／上田純一郎

（ENGINE WEBオリジナル）

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