2023.05.15

CARS

これは掘り出し物だ! トヨタのスモールSUV、ヤリス・クロスに加わったGRスポーツに乗ってちょっと驚きました!!

トヨタ・ヤリス・クロスGRスポーツ

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ボディの補強や脚まわりのセッティング変更など手が加えられた箇所は限られるが、これが「まあ乗ってみてくださいよ」と言いたくなるような出来栄えだったのである。モータージャーナリストの高平高輝がリポートする。

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早合点する前にまあ乗ってみて!

クルマ好きを自認する経験豊富なオジサンたちにしてみれば、どうせ脚まわりをちょっと硬くして、若者向けにやんちゃなお化粧直しを施しただけだろう、なんて横目で見たくなる気持ちも分からないではないが、ヤリス・クロスの「GRスポーツ」はちょっと違う。早合点する前にまあ乗ってみてくださいよ、と(自分自身にも)言いたくなるぐらいの掘り出し物である。



トヨタのベストセラー「ヤリス」をベースにしたSUVとして2020年8月に発売されたのがご存知ヤリス・クロス。昨年7月には一部改良が加えられるとともにGRスポーツがグレードとして追加された。ベースとなったのはハイブリッドおよびガソリンのGグレードだ。モータースポーツ直系ブランド「GR」の名を冠したモデルにはGRヤリスをはじめとするボディもパワートレインも専用の本格的スポーツ・モデルと、そこには手を付けない比較的ライトチューンの「GRスポーツ」があり、後者をスポーツ・コンバージョンモデルと位置付けているらしい。GRスポーツは車種が多様な上にクルマによって専用装備の内容がまちまちで、一般ユーザーにはちょっと分かりにくいのが正直なところだった。今回のヤリス・クロスGRスポーツの場合は、単なるコスメティックスの変更を超えて中身の細部にまで手が加えられているのが特徴である。





本誌P101で試乗記をお伝えしたアクアGRスポーツ同様、フロア下のトンネル部をまたぐようにブレースを2か所、さらにボディ後端にもロアバック・ブレースを追加してボディ剛性をアップ、脚まわりはバネ、ダンパー、ブッシュなどを専用にチューニングした上に車高を10mm下げ、専用タイヤ(ファルケンFK510で18インチのサイズは標準車と同じ)を装着、さらに電動パワーステアリング制御もスポーティに変更したという。システム出力116psのパワートレインは他のモデルと変わらないが、モーターの過渡特性を最適化しレスポンスを向上、合わせてドライブシャフトもねじり剛性をアップした専用品を採用。中空だったものを“中実”シャフトに変更したというから、まさしく見えない部分にも実が入った改良である。

実際に乗ってみると、スポーティよりも上質になったと言いたいぐらいの違いがある。スロットル操作にもステアリング操作にもよりリニアにダイレクトに反応してくれる上に、音や振動の抑制、さらには乗り心地についても標準モデルのZよりGRスポーツの方が優っている。しっかり組み上げると飛ばさなくても上質感として表れる好例ではないか。思った以上に大人向けのGRスポーツである。

文=高平高輝 写真=郡 大二郎



(ENGINE2023年6月号)

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