2023.05.30

CARS

この体験は、新しい運転の喜びかも!? バーチャルのeスポーツとリアルなレースがシンクロする! マツダが始めた画期的なプログラムとは? 

マツダが昨年開催したeスポーツのレース「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP 2022」の上位成績者に、リアルの世界を体験してもらうプログラムが筑波サーキットで開かれた。エンジン編集部のムラヤマがリポートする。

バーチャルからリアルの世界へ!

マツダは昨年から、クルマのある生活の愉しさや走る歓びを広めていく活動「倶楽部MAZDA SPIRIT RACING」を始動。この取り組みの一環として、eスポーツの世界からリアルなモータースポーツを目指す人を応援するプログラム「バーチャルからリアルへの道」が筑波サーキットで開かれた。

2日間の練習の集大成として、コース2000を周回走行する参加者。プログラムの途中では講師の運転による同乗走行も行われ、参加者はそこでクルマの動き方を身体で覚えると、一段とスムーズな運転ができるようになっていた。

プログラムは2月と3月にそれぞれ1泊2日で行われ、3月の日程を取材した。3月8日、筑波サーキットに到着すると、5台のマツダ・ロードスターNR-Aパーティーレース仕様と、不安げな表情を浮かべた10人の若者が集まっていた。聞いてみると、その多くが10代から20代半ばで、ほとんどが実車でサーキットを走るのは初めてなのだという。だけれど、彼らはレーシングゲーム「グランツーリスモ7」を用いた、eスポーツのオンラインレース「MAZDA SPIRIT RACING GTCUP 2022」の成績上位者だ。今回のプログラムは、バーチャルの世界からリアルの世界に挑戦するきっかけとして、実車の操り方やその歓びを体験してもらうというもの。この取り組みには、少しでも多くのドライバーの夢を叶えて裾野を広げることで、モータースポーツの文化をこれからも発展させていきたいというマツダの想いが詰まっている。だから、幸運にもこのチャンスに恵まれた参加者は、なんと身一つで参加できる。リアルの世界を夢見るバーチャル・レーサーにとっては、まさに夢のような2日間になるだろう。



プログラムは、段階的なカリキュラムを踏みながら初日はコース1000、2日目にコース2000を走るもの。最後には、安全に楽しくレーシング走行ができることを目指している。

チーフ・インストラクターを務めるのは、2022年のスーパー耐久にも出場していたレーシング・ドライバーの加藤彰彬選手。さらに、取材した日程にはゲストとして関 豊選手と、バーチャル・リアル両方のモータースポーツ経験がある若手ドライバーが、メンターとして4人加わった。



参加者の多くは皆、初めてのリアル・ロードスターにおぼつかない様子だったけれど、たちまちスムーズな運転になり、つい数時間前まではリアル・サーキット未経験だったとは思えない頼もしい走りへと変わっていったのが印象的だった。走行後に話を聞くと、バーチャルとリアルの違いについて、口々に「身体へのGの掛かり方」が特徴的だと語っている。参加者の山村昂佑さんは「ゲームで体験していた挙動と景色の変化の感覚に、身体で感じたリアルなGの掛かり方を合わせ込む」ことを意識していると教えてくれた。また、龍 翔太郎さんは「コーナーに進入する前に、しっかりと荷重をコントロールして姿勢を整えることの大切さを実感した」という具合だ。

ここからさらに選抜されたメンバーは、なんとMAZDA SPIRIT RACINGチームのドライバーとして、マツダ車限定の耐久レース「マツダファン・エンデュランス(通称:マツ耐)」2023シリーズに参戦できるのだという。リアル・レースデビューも果たせるなんて、素晴らしい!。

このプログラムを企画したマツダ株式会社の油目雅史さんは「“若者の車離れ”の本質は、“若者が離れた”というよりも“社会的に車に手が届きにくくなっている”のだろう」と話す。バーチャル・レーサーにも、リアル・モータースポーツは敷居が高いと感じる人が多いけれど、一度体験しさえすれば、さらに深い運転の歓びを知ってもらえる。そのきっかけを作り「もう一歩」を踏み出すための手助けがしたいのだ、という。これからも様々な機会を作っていくと聞いた。今後の動きに注目だ。

文=村山雄哉(ENGINE編集部) 写真=マツダ株式会社

(ENGINE2023年6月号)

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