2023.06.27

CARS

これは味わいの一級品だ! フェイスリフトしたBMW アルピナB8グランクーペに試乗 アルピナの本当の魅力とは?

BMWアルピナB8グランクーペ

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2025年末で活動を終了し、BMWに商標権を譲渡することが決まっているBMW アルピナ。その最後のフラッグシップ・モデルとなる新型B8グランクーペに、試乗する機会を得た。エンジン編集長のムラカミがリポートする。

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いよいよ円熟の時

まさかアルピナにこんなカタチで終わりが来るなんて思ってもみなかった。エンジンについては長い歴史と豊富な知見を持っているが、こと電気モーターについての知見はゼロであり、これからもアルピナの名を存続させていくには自分たちでやるよりBMWに委ねた方がいい――。そんな判断の結果、2025年12月31日をもってアルピナ社としての活動を終え、翌26年1月1日からは商標権をBMWに譲渡することになったというのである。すでに7シリーズ・ベースのB7の販売は終了しているから、昨年フェイスリフトしたB8グランクーペが、現在のカタチでのアルピナの最後のフラッグシップ・モデルとなる。その広報車がようやく用意されたと聞いて、ぜひともじっりくと味わっておきたいと熱望したのは言うまでもない。



あるジャーナリストはこれを“味わいの一級品”と評していたが、確かに私がこれまでに乗ったすべてのクルマを振り返ってみても、アルピナほど“味わい”という言葉を乗るたびに感じさせたものはなかった。そもそもが高級スポーツ・セダンとして世界をリードする存在であるBMWの車両の、主にエンジンと足回りにさらに徹底して磨きをかけることによって得られる、呆気にとられるほどパワフルな走りと、裏ごしに裏ごしを重ねたソースのように滑らかで奥深い乗り味。しかし、近年ではベース車両がより高性能化するのに伴って、アルピナも“味わい”より乗り心地を少々犠牲にしてでもまずは“速さ”を重視する方向に転換しつつあるフシもあったが、こと5シリーズ以上の大型モデルについては、これまでの“味わい”重視の乗り味を色濃く残していた。それがいま、いよいよ円熟の時を迎えようとしているのである。

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