2023.06.27

CARS

これは味わいの一級品だ! フェイスリフトしたBMW アルピナB8グランクーペに試乗 アルピナの本当の魅力とは?

BMWアルピナB8グランクーペ

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思わず口元も緩む気持ち良さ

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世田谷の環状8号線に面したショールームでB8グランクーペの広報車を借り出して走り出す。最初は、クルマのサイズがあまりに大きいのに戸惑った。しかし、混雑した環8通りを東名高速の入口に向けて走っているうちに、ステアリングやペダル操作に緻密なまでに正確に動いてくれる操縦性の良さに、どんどんその大きさが気にならなくなっていく。やがて、高速道路に乗って速度を上げ始めると、まるで路面に吸いつくようにして突き進む走りの気持ち良さに、思わず口元が緩んでしまった。

アルピナの流儀にのっとり、ステアリング・ホイールの表面は触り心地がしっとりときめ細やかなラヴァリナ・レザーに張り替えられる。

そのほかの内装もオプションですべてラヴァリナ・レザーに張り替えることが可能。

実はフェイスリフトする前のアルピナB8グランクーペには、一年前に乗っている。「グランド・ツアラーで行く、“小さな”クルマ旅のすすめ。」という特集で、伊豆の温泉宿と美術館を訪ねるのに使った。その時に私はこう書いている。〈B8はとにかく乗り心地がいい。(中略)どんな路面の荒れに遭遇しても顔色ひとつ変えることなく、まるで遠くで何かが触れたかのごとくトーントーンと軽くいなして、アウトバーンならぬ目地段差の多い日本の高速道路を突き進んでいく。これこそが、アルピナ本来の魅力だ〉



率直に言って、この時と今回乗った印象はまったく変わらなかった。どうやら、今回の新型は文字通りのフェイスリフトで、外観ではフロントグリルの形状がよりインパクトの強いものに変ったり、インテリアではセンター・コンソールのディスプレイがより大型化されたほかには、大きな変更は加えられていないのだ。621ps/800Nmのパワー&トルクを発揮する4.4リッターV8ビ・ターボ・エンジンも、0 -100km/h加速3.4秒、最高速度324km/hのスペックもまったく同じだ。箱根を走り始めて、また昨年の印象を思い出した。〈山道のセクションに入ると、これまた顔色を変えることなく、みごとな加速とスムーズな減速、そして切れば切っただけ曲がるしなやかなハンドリングをさらりと披露するのだから、舌を巻く〉(昨年の特集より)

まるでひと回りもふた回りも小さなスポーツ・セダンを彷彿とさせるこの走りっぷりも、1年前に乗った旧型とまったく違いはないのだ。あえて言うなら、あらゆる場面においてそもそもが素晴しい乗り味に、さらに円熟味が加わったといえば加わったかもしれない、というくらいだろうか。少なくともいま、ひとつの頂点にいるのは間違いないと思った。

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=柏田芳敬

アイバッハ社製スプリングとアダプティブ・ダンパーを組み合わせた独自の足回りには、ピレリが専用開発したタイヤと伝統の20スポーク・デザインの21インチ・クラシック鍛造ホイールを組み合わせる。

■BMWアルピナB8グランクーペ・オールラッド 
駆動方式 エンジン・フロント縦置き4WD
全長×全幅×全高 5090×1930×1430mm
ホイールベース 3025mm
車両重量(車検証) 2170kg(前軸1160kg、後軸1010kg)
エンジン形式 直噴V型8気筒DOHCツインターボ
排気量 4394cc
ボア×ストローク 89.0×88.3mm
最高出力 621ps/5500-6500rpm
最大トルク 800Nm/2000-5000rpm
トランスミッション ZF製8段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ (前)245/35ZR21、(後)285/30ZR21
車両本体価格(税込み) 2690万円

(ENGINE2023年7月号)

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