2023.07.20

CARS

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フランス仕込みの走りに脱帽! 新型ルノー・カングーの本国のイチ押し「インテンス」に自動車評論家の佐野弘宗氏が試乗!!

ルノー・カングー・インテンス

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新型カングーに設定されている「クレアティフ」と「インテンス」。日本専用モデルのブラックバンパーの「クレアティフ」の魅力は商用車っぽいところだが、「インテンス」については日本ではまだあまり語られていない。そこで今回は、実はフランス本国では、カングーと言えばこっち、と言われている「インテンス」にスポットを当てて、モータージャーナリストの佐野弘宗氏がその魅力と価値を解説する。

「ルドスパス=遊び空間」という新ジャンル

ルノー・カングーは「タフに使われるお仕事グルマ」と「家族や仲間と楽しめる遊びグルマ」という“2つの顔”をもつ。ちなみに、日本で販売されるカングーの内容は、基本的に後者を想定したもので、最新乗用車らしい質感や快適性、安全性を満たしたものになっている。



しかし、日本のクルマ好き、特にフランス車を選ぶようなエンスージァストはとても勉強熱心で、しかもウィットに富んだセンスの持ち主が多い。なので、先代のカングーでも、平日のパリ市街で見かけるお仕事グルマ風のブラックバンパーが人気を集めたりしたのだ。

そんな日本のファン心理を理解するルノー・ジャポンは、新型カングーに「クレアティフ」と「インテンス」という“2つの顔”を象徴する対照的なグレードを用意した。

このうち、お仕事グルマ風の「クレアティフ」はなんと日本専用グレードで、イメージカラーのジョンアグリュム(=ソリッドのイエロー)などは、そもそもフランス本国のカングーにも存在しない色なのだ。そういうこともあって、新型カングーの国内発売直後、なにかと話題になったのは「クレアティフ」だった。

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いっぽうの「インテンス」は、ほかのルノーでもおなじみの上質さを身上とするグレードだ。ボディ同色バンパーや、サイドプロテクターのないすっきりしたサイドビューなど、「クレアティフ」とは対照的に上質なステーションワゴン風にまとめられている。また、ボディカラーでも今回のブルーソーダMのほか、レッド系のブラウンテラコッタMやグレー系のグリハイランドMなど、シックなメタリック色を用意するのも「インテンス」ならではだ。

ところで、カングーというクルマの説明として、ときおり「仕事グルマである商用バンがカングー本来の姿。遊びグルマの乗用モデルは商用バンをベースとする」という表現が見受けられるが、それは正確ではない。カングーは1997年にデビューした初代モデルから、仕事グルマと遊びグルマの“2つの顔”を完ぺきに両立する「ルドスパス=遊び空間」という新ジャンルとして生み出されたのだ。





フランス本国の開発陣によると、じつに14年ぶりのフルモデルチェンジで3代目となった新型カングーは、とくに乗用車としての価値と質感を大きく引き上げることが最大の開発テーマだったという。

たとえば、明確なボンネット形状のフロントノーズや力強く張り出したショルダーラインなどは、最新の高い衝突安全性のためだけではなく、安定感のある乗用車ライクなたたずまいの表現でもある。さらに、観音開きなのに左右対称に見せるリアデザインや、高精度化されたパネル合わせや塗装品質、きらびやかなフルLEDヘッドライトなど、エクステリアの質感は先代から飛躍的に高まっている。

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それはインテリアも同様……というか、自慢の広さや実用性にも磨きをかかっているインテリアのほうが、先代からの質感向上も顕著といってもいい。

ツヤが適度に抑制されたダッシュボードは高級感に富み、そこにあしらわれるヘアライン仕上げパネルやクロームメッキ部品はなんとも繊細な仕立てだ。左右独立調整式オートエアコン、中央に8インチ、メーターに7インチのカラー液晶を採用したインフォテイメント、ホールド性の高い新開発フロントシート、さらには「エマージェンシーレーンキープアシスト」や「ブラインドスポットインターベンション」など、新型カングーの装備や先進運転支援システムの充実っぷりは、同じルノーでいえばメガーヌやアルカナなどのC〜Dセグメントの上級機種にもまったく劣らない。



最上級グレードの「インテンス」

そんな、新型カングーの上級・上質化や進化のほどは、走り出すとさらに明らかになる。なにより驚くのは静かなことだ。この静粛性も新型カングーでの重要なテーマだったらしく、ボディのあらゆる部分に遮音・吸音材が追加されて、ガラスもすべて厚さを増している。さらにはスライドドアのレールも剛性を上げてカバーを追加するなど、走行中のドア振動や風切り音にまでこだわっているのだという。

そうした静粛性に加えて、先代でも定評のあった走行性能も、新型カングーでは見違えるように進化している。その基本骨格は社内で「CMF-C/D」と呼ばれるもので、メガーヌなどにも使われるルノーでは最上級のプラットフォームだ。しかも、お仕事グルマとしての過酷な使われ方を想定して、リアサスペンションを堅牢な専用設計としたほか、フロントサスペンションの一部に欧州で販売されるフラッグシップSUVの「エスパス」の部品まで動員して強化されているそうだ。



今回の試乗車は最新ダウンサイジングエンジンである1.3リッター直噴ターボを積むガソリンモデルだった。そのクラスでも1、2を争うパワフルなエンジンも新型カングーは涼しげに受け止めて、乗り心地はあくまで快適で滑らかに、まるで路面に吸いつくかように走る。手応えが一貫したフィーリングで、スポーツカーはだしの正確さをもつステアリングもお世辞抜きに素晴らしい。……と思ったら、そのパワーステアリング機構も、デュアルピニオン式というクラスレスな贅沢メカだった。

エクステリアとインテリアで一貫する高い質感、あっと驚く静粛性と快適な乗り心地、先代以上に卓越したハンドリング、そして先進の装備や安全性……。そんな新型カングーに乗って、個人的にはブラックバンパーの「クレアティフ」より今回の「インテンス」の仕立てのほうが似合う気もした。

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……と思ったら、それもそのはず、「クレアティフ」は前記のとおり日本専用グレードだが、この「インテンス」はフランス本国を含む欧州でもカングーの最上級グレードとして販売されている。そんな欧州でのリアルを加味すれば、じつは「インテンス」こそが、新型カングーらしいカングーといえるかもしれない。

それにしても、ここまで飛躍的に進化したハードウェアや質感をもつ新型カングーは、日本ではガソリンとディーゼルという2種類のエンジンに加えて、欧州直系の「インテンス」と日本のファンのためだけに仕立てれた「クレアティフ」という“2つの顔”から選ぶことができるわけだ。その悩ましくも嬉しい状況が形成されているのも、先代にあたる2代目カングーが10年以上にもわたって人気を保った日本市場へのルノーのプレゼントだろう。日本のカングーファンは本当に幸せである。

文=佐野弘宗 写真=望月浩彦

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