2023.08.12

LIFESTYLE

キッチンの窓からはスーパームーンが見える! 次に住む人たちが二百年は使ってほしいと考えて建てた宇宙船のような五角形の家

彫刻のようにモダンな住宅

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雑誌『エンジン』の大人気連載企画「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」。今回は、訪れたのは歴史ある文化の町として知られる栃木県南西部の足利市。駅から離れた山の麓に、不思議な造形の家が建っていた。アート・ディーラーの施主はどんなこだわりでこの家をつくったのか? デザイン・プロデューサーのジョースズキ氏がリポートする。

あえて選んだポルシェ912

足利市の山の麓に建つ、彫刻のような造形のモダンなコンクリート住宅。アート・ディーラーの酒井稔さん(63歳)と、インテリア・デザインの会社を経営する敏子さん夫妻のお宅だ。写真左手奥に見える古い建物は、二人が経営するレトロなカフェ。昭和初期の建築を利用したもので、江戸時代に建てられた蔵に続いている。酒井さん夫妻は共に、このような歴史のある建物が今も数多く残る足利で生まれ育った。我が国最高の学問の府であった足利学校が、この地に開校したのは平安時代。足利は、長きにわたって文化の町であった。そして今でも、創造的な遊びにお金を使う粋な趣味人も多く住んでいるという。



仕事でミュージアム・レベルの逸品を扱う酒井さんも、そんな趣味人の一人だろう。建物の脇に停められた赤いポルシェは911ではなく、あえて選んだ912(1965年製)。911のボディに、ポルシェ356SCなどに使われた4気筒のエンジンを載せた一台だ。911よりエンジンが小さい分、ボディ・バランスが良く、性能を存分に引き出した運転を楽しめるのが魅力という。所有しておよそ10年。ドライブはクルマが劣化しないよう、定期的に近所の山道を1時間走る程度である。所有車は、メンテナンス中のフェラーリ・カリフォルニア(2010年製)と、フェラーリ456(1994年製)を含め3台のみ。クルマは自慢のネタでも投機の対象でも、普段の足でもない。酒井さんにとってのクルマは、世界的な名画を購入したアート・コレクターが、「現在は私が一時的に預かっているだけ」と考えるのに似ている。時が来れば、責任ある別の良き人が受け継ぐのである。



酒井さん夫妻の生活は楽しいものだ。例えば結婚した際、限られた予算で何ができるか二人は考えた。著名な海外の写真家に撮影をお願いすることも選択肢だったが、同額で安藤忠雄の設計したチャペルで小さな式を挙げることを選んでいる。

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