2023.07.31

CARS

待ってろアウディ!! 驚きの後輪駆動モードも備える超高性能万能4WDワゴン! M3初のワゴン・ボディ、ツーリングに試乗

BMW M3 コンペティションM xドライブ・ツーリングは510馬力!

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4WDに加え、ついにワゴン・ボディも手に入れた新型BMW・M3。望むならばRWDにして、ドリフトやサーキット走行を楽しめる。まさに万能を手に入れた最速・最強ワゴンの乗り味はいかなるものだったか? モータージャーナリストの高平高輝がM3 コンペティションM xドライブ・ツーリングに試乗した。

アウディ・ワゴンに真っ向勝負!

オンロードを高速移動するためのパワフルなエンジンを積んだ4WDのステーションワゴンと言えばアウディ・アバントのクワトロ・モデルが専売特許のようなものと考えていたが、それに正面から立ちふさがるかのように今年1月にBMW M3に「ツーリング」が追加された。今ではSUVにも各種「M」モデルがラインナップされているから驚くには当たらないかもしれないが、M3としてはもちろん初めてのワゴン、そもそもM3の4WDモデルは現行の6代目が初めてである。ちなみに自然吸気の5.0リッター V10を搭載した5代目5シリーズ・ベースのM5にはツーリングが一時存在していた。



しかも“コンペティション” ということは、S58型3リッター直6ツインターボは標準仕様(480ps/550Nm)ではなく、510ps/6250rpmと650Nm/2750-5500rpmを発生する高性能版である。その強力なパワーを手なずけるために後輪駆動重視ながら4WDのMxDriveシステムを採用したというのに、DSCを解除すれば4WDスポーツ・モードに加え、RWDモードも選べるのが「M」らしいところ。さらにオプションのMドライブ・プロフェッショナルを選べば、10段階でトラクションコントロールの作動レベルを調整する機能が付いてくるのもM3/M4と同様である。本当にそんな使い方をする人がいるかどうかは知らないが、荷物満載(荷室容量は500~1510リッター)でアウトバーンをかっ飛ばす高速グランドツーリングからサーキットでのドリフト競争まで、あらゆる場面に対応します、とのアピールだろうか。

インパネはカーブド・ディスプレイに一新され、物理スイッチはだいぶ減ったが、iDriveコントローラーは残されている。何だか過渡的な仕様だが、この方式が一番使いやすい。2トーンのフルレザー・メリノシートはオプション。

動力伝達マナーがずば抜けている


ゆっくり流す時にはあくまで滑らかにかつ逞しく、スロットルペダルを深く踏み込めば、きめ細やかな回転フィーリングを失わないまま爆発的に吹け上がるエンジンはもちろん変わらず、しかもスロットル・レスポンスやシフトスピードは個別に変更可能で、ステアリング・ホイール左右のMボタンに予め設定しておくこともできる。このツーリングもパワートレイン全体の剛性感が素晴らしく、スロットルペダルの微妙な操作に対してもリニアに緻密に反応しながら、パワートレインの遊びや揺動を感じさせず、ドライバーの思った通りにパワーを伝える滑らかなマナーがずば抜けている。



脚まわりは当然締め上げられてはいるが、不整に対する当たりの角は丸められており、粗野なハーシュネスなどは一切なし。ただし、さすがに巨大なタイヤを抑えつけている重量感はあり、低中速ではノーマルモードでも明確なドシッという突き上げを感じることもある。同じM3コンペティションのセダンと比べると70kgほど車重が増加しているためかは分からないが、ツーリングのほうが若干乗り心地はハードに感じられた。もちろん、日常使用で我慢できないほどではなく、個人的には(ちょっとやせ我慢して)快適と言ってもいい。

問題は車両本体のみで1398万円、Mカーボンセラミック・ブレーキ(107.5万円)などのオプションを加えた取材車では1650万円あまりになる価格だ。それでも、このご時世に実用性を備えたスーパーワゴンで、しかも場所を選べばドリフトもできる、となると胸のど真ん中を射抜かれる人は案外多いかもしれない。

文=高平高輝 写真=宮門秀行



(ENGINE2023年9・10月号)

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