2023.08.13

CARS

プジョーの新ジャンルSUV、408はどんなクルマ? いま一番スタイリッシュでカッコいいプジョーかも!!

プジョー408ハイブリッド

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セダン、ステーションワゴン、SUVといった様々なクルマの特性を上手く組み合わせたプジョーのブランニュー・モデル、408。そんな新しい息吹を感じるフランス老舗メーカーの新顔に早速試乗してみた。モータージャーナリストの森口将之がリポートする。

プジョーらしい猫足を実感

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プジョーと言えば少し前まで、セダンやブレーク、クーペといった伝統的なボディ・タイプを守り続けたブランドだった。少なくともここで紹介する408の前の世代である406や407はそうだった。

408はそういう文脈の上にはない。ファストバックとクロスオーバーの融合であり、セダンとステーションワゴン、SUVの特性を併せ持つという。フランスの老舗も時代の変化を見据えているというわけだ。



そんな事前情報を頭に入れつつ接した実車は、全高1500mmとクロスオーバーとしては背が低いこともあり、むしろ5ドア・クーペという印象で、流麗なフォルムのおかげもあり、かつての406クーペに似たポジショニングに感じられた。

プラットフォームやパワートレインが共通で、室内も似た部分が多い308と比べると、ヒップ・ポイントは乗り降りにちょうどいい高さなのに、上下に薄いキャビンのおかげでコクピットは心持ちタイト。この点もクーペっぽいと思った。対照的に、実用的な開口部を持つドアからアクセスする後席は、身長170cmの僕なら足が組めるほどで、2790mmというロングホイールベースを実感する。しかも掛け心地はフロントより明確にソフトで、その昔愛車にしていた405を思わせる作り分けの妙に感心した。



パワーユニットは1.2リッター直列3気筒ターボのガソリンと、1.6リッター直列4気筒ターボにモーターを結合したプラグイン・ハイブリッドがあり、乗ったのは後者だった。プジョーでは3008や508でも実績を積んだメカニズムであり、加減速のマナーは一段とスムーズになっていた。車両重量は1740kgに達するが、システム合計で225ps/360Nmをマークするだけあって、加速そのものもかなり余裕がある。

ボディ・サイズは全長4700mm、全幅1850mmと、まるで日本の道路事情に合わせてきたようであり、東京都内でのドライブで、サイズに気を遣うようなシーンはほとんどなかった。

シートも素材以外は308に似ている。ただしボディ・サイズが近い308SWと比べるとホイールベースなどの違いもあり長くて低い空間に感じられる。価格は629万円。


ドライブ・モードはエレクトリック/ハイブリッド/スポーツの3種類で、バッテリー残量をきめ細かく設定できるeセーブと呼ばれる仕組みも備えている。スポーツではレスポンスが鋭くなり、エンジンの出番が多くなるものの、デビューからかなりの歳月を経たユニットということもありエンジンの回り方は古典的。残り2つのモードのほうがエレガントな姿にお似合いかもしれない。

乗り心地はプジョーらしい猫足をしっかり実感できる。それでいて小径ステアリングを切るとノーズがクイックに向きを変え、その後は情報量豊かな前輪の接地感をメインに旋回していく。このあたりもかつての400番台を思わせる身のこなしで、現在の実用車として高水準という印象が最初に押し寄せる308と比べると、クーペらしいキャラクターに仕立ててあるという印象を抱いた。

でもそれはライオン一族の中での話。客観的には、エレガントなフォルムとスポーティな走りを併せ持ちつつ、どんなシーンも受け入れてくれそうな懐の深い1台に仕上がっていた。それは歴代の400番台プジョーが備えていた持ち味に通じるものがあった。流行のパッケージングを取り入れてきた408からも、そんなクルマづくりを感じ取れたのは収穫だった。

文=森口将之 写真=茂呂幸正



(ENGINE 2023年9・10月号)

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