2023.08.03

CARS

BMWが燃料電池車、iX5ハイドロジェンで実証実験開始 市販化に向けてさらに一歩前進

BMWが燃料電池車「iX5ハイドロジェン」の実験車両での日本における公道走行を開始。年末まで、実証実験を実施する。

BEVだけに頼らない

BMWグループは現在、ガソリンとディーゼルのICE(内燃機関)車をはじめ、電気モーターによるアシストを加えた48Vマイルド・ハイブリッド車、外部からの充電が可能なプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)、完全電動のバッテリーEV(BEV)を販売している。iX5ハイドロジェンは既存のX5をベースとした燃料電池車(FCV)だ。



2011年からトヨタと共同研究

BMWは2000年代中盤に水素を燃料にした内燃機関の実験車を製作するなど、水素の可能性について研究を進めてきた。FCVの基礎研究は2011年からトヨタと共同で行なわれており、新たなパワートレインとしての実用化が期待されている。

メリットのひとつとして見込んでいるのは短時間での燃料充填と長い航続距離だ。iX5ハイドロジェンで、水素タンクが空の状態から約3分程度の充填で約500kmを走行可能だという。このほかにも、充電施設に気軽にアクセスしにくい環境、寒冷地域、牽引など大きな出力が一定時間必要な使い方をする場合などでもFCVはBEVに対して優位性を持つ。また外部機関の調査によると、環境対応車をBEVだけで賄わずにFCVを併用するとトータルでのコストを抑えられるという試算もある。



2020年代後半に市販化予定

BMWグループとしては、2020年代後半にFCVを市場投入予定で、現在はドイツやアメリカなどの主要国で実証実験を実施中。車両に対する顧客要求が高い市場として日本もテスト地に選ばれた。

日本での実証実験では、各地での実走行データのほか、官公庁や行政機関、大学を訪問して専門家の意見も収集。それらを本社へ送り、製品開発に活用するという。日本市場での研究結果も盛り込まれた市販モデル、その登場を待ちたい。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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