2023.08.26

CARS

独自路線か、メルセデスと協調か、それとも新勢力と組むか アストン・マーティンの未来をストロール代表に訊く

モナコGPでのインタビューが行われた週末、アストン・マーティンはニースで新型DB12のワールドプレミアを行った。アストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラワン・チームのオーナーであり、アストンマーティン・ラゴンダの会長でもあるローレンス・ストロールは、市販車部門について、どういうビジョンを描いているのだろうか?

初の新規開発車

「私(ローレンス・ストロール氏)のオーナーシップのもとで初めて発売されたのは「DBX707」です。DBX自体は前体制下で開発されたものですが、馬力だけでなく、車両全体のドライビング・ダイナミクスも格段に向上させた素晴らしいクルマだと思っています。そして今回発表した「DB12」は私がオーナーになってから初の新規開発車となり、この2台からアストン・マーティンの新しい未来が始まります」



10億ドル以上を投資

あなたにとってアストン・マーティンとは?

「私は30年来、アストン・マーティンを個人的に愛用していますが、アストン・マーティンは常に、最もエレガントで美しい、サヴィルロウ・インテリアとでも呼びたいようなクルマを作ってきました。でもパフォーマンスやテクノロジーには少し欠けるところがありました」

「今年は創業110周年です。私は、100年以上の歴史を持つブランド、つまり世界で最も偉大なブランドの1つを所有することは、それがどのような分野であれ、非常に稀な機会であると誇りを持っています。私はアストン・マーティンの会長に就任してから、事業に必要な資金を調達し、現在では10億ドル以上を投資しています。私のビジョンと方向性は非常にシンプルで、ウルトラ・ラグジュアリーでウルトラ・ハイパフォーマンスであること。そして、アストン・マーティンが技術を持っていなかったためにできなかった、F1チームからのマーケティング、技術をすべて取り入れることです」



新しい技術部門を設立

具体的にはどういうことを考えていますか?

「シルバーストーンに完成したF1チームの新しい工場には、アストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズ(Ampt)という部門を設立し、ロードカー会社に多くのサービスを提供することになりました。エレクトロニクス、エアロダイナミクス、CFDなど、これまでアストンマーティン・ラゴンダができなかったものをAmptが提供するのです」

「シルバーストーンに設立されたAmptは別会社として、アストン・マーティンだけでなく他の企業にもサービスを提供します。DB12に搭載する新しいダンパーも扱っていますが、ヴァルハラには、もっと多くの部品が採用されるはずです」



吉利汽車が第3位の株主に

先日ジーリー(吉利汽車)が第3位の株主になったニュースがありましたが、その影響力の拡大についてはどうですか?

「彼らは公開市場で株を取得しましたが、中国市場において、小売業という観点から、彼らは大きな力を持っており、私たちの中国での成長を加速させる手助けをしてくれるでしょう」

一方、メルセデス・ベンツとはどのような関係になりますか?

「メルセデス・ベンツとは非常に緊密な関係にあります。彼らは今でも我々の大株主です。彼らは私のビジョンを信じ、会社の将来性を信じています。そして、部品からソフトウェアまで、私たちが望むものなら何でも提供するという協力的な姿勢も見せてくれています。そして我々のような少量生産の会社にとって、1つ、2つ、3つの大きな兄弟がいることは、とても助けになります。お客様が見て、触れて、感じることのないもの、たとえば空調システムを導入するような場合です」

ジーリーが第3位の株主になるなど、を取り巻く環境が刻々と変化しているアストン・マーティン。間近な問題としては電動化への対応もある。次回はそのあたりについて伺ってみる。



文=藤原よしお 写真=Aston Martin Aramco Cognizant Formula One、Aston Martin Lagonda Limited

(ENGINE WEBオリジナル)

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