2024.01.18

CARS

同門対決試乗! 2台のメタル・トップ式オープン・フェラーリ、458スパイダー対カリフォルニア【『エンジン』蔵出しシリーズ/フェラーリ篇】

2台のメタルトップ・スパイダー、フェラーリ458スパイダーとカリフォルニアを比較試乗!

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雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は、2台のメタル・トップ・フェラーリ、458スパイダーとカリフォルニアを取り上げた2012年5月号のページを取り上げる。カリフォルニアで初めてメタル・トップを採用したフェラーリ。458の屋根開きは幌屋根でくるだろうと思っていたら、なんと、ミドシップ・カー世界初のメタル・トップ式だった。どちらも魅力的たが、中古車で買うならどちらがいいのか!?

クーペよりカッコいい

村上 フェラーリはなぜ、ここにきて立て続けにメタル・ルーフを持ったオープン・カーを出してきたのか。458にいたってはすでにクーペがあるわけだから、なにももう1台、硬い屋根を持ったクルマを出す必要はない。むしろ、幌屋根にしたほうが、差別化になる。そこをあえてメタル・ルーフにした背景には、どんな思惑があったのか? それが問題だ、と言おうと思って試乗に臨んだのだけど、実車を見たら、そんなことはどうでもよくなった。なにしろ、屋根を閉じた姿がクーペよりカッコいいのだから、なんの問題もない。逆に、クーペをなぜこのデザインにしなかったのか、疑問に思えてきた。

FERRARI 458 SPIDER  ハイピッチで歌いまくる180度クランクV8の強烈なサウンドに包まれて走ると、まるでそこがサーキットであるかのような錯覚に陥る。運転支援装置のデキは秀逸だけれど、手荒な操縦が似つかわしいクルマでは決してない。ミドシップ・スポーツカーの範となる優れたレイアウトは、だからこそ、それ相応の腕を要求する。

齋藤 なぜメタルかといったら、それは市場の要望でしょう。耐候性の問題がすんなり解決する。それと、フェラーリの資料によれば、ルーフ軽量化に大きく寄与する。その結果、開閉に要する時間も短縮される。さらに、ルーフ形状が滑らかにできるので、空力特性も改善される、ということみたい。収納に必要なスペースも小さくなったと言っている。

村上 そりゃ驚いた。これまで、ソフト・トップをハード・トップに変えて軽くなったなんて話は聞いたことがない。どうしてそんなことができたのか?

齋藤 430スパイダーのソフト・トップに較べて25kg軽くなったと言っているんだけど、ルーフをアルミ製にしたことが大きいみたい。それと、蛇腹のように畳み込むソフト・トップと違って、屋根を2つに分けて反転させながら格納する構造が採用できたので、内部機構も単純化できて、これも重量削減に役立っているらしい。575スーパーアメリカの経験が活かされたっていうことになるね。もちろん、軽くなったとはいっても、458スパイダーはクーペの458イタリアより50kg重い。50kgしか、というべきか。

メタル・ルーフは反転して、エンジン上に収まる。

村上 たしかに屋根がそのまま180度クルッと回転するやり方は、コロンブスの卵ものだと思った。スパイダーのデザインの特徴は、ルーフ格納庫のカバーにルーフから連なる大きな2つのフィンが付いていることで、これがかつてのディーノ206からF355まで続いたミドシップ・フェラーリの姿を彷彿させて、懐かしさが込み上げてくる。開けても閉めてもカッコいい上に、クーペとたった50kgしか違わないとしたら、断然こっちの方がいいと思った。

齋藤 スパイダーの方がスタイリッシュだと思う人はきっと多いだろうね。次はクーペもこのスタイルに戻るかもね。空気抵抗だって、Cdはクーペと同じ0.33をキープしているからね。形状的な不利はないし。

カリフォルニアは寛容

村上 一方、FRで2+2のカリフォルニアはロング・ノーズのオーソドックスなクーペ・スタイルをとっている。で、大きなメタル・ルーフを多分割してトランク内の上部にしまう。世界初のミドシップ・クーペ・スパイダーである458に較べれば、きわめて一般的な手法といえる。その見た目の違いは、2台を走らせたときの乗り味の違いにも繋がっていた。着座位置が思い切り低い458スパイダーの走りは、レーシング・カーさながら。短いノーズの先の路面が突き刺さるように視界に入ってきて、ウルトラ級にダイレクトでクイックなステアリングはドライバーにつねに緊張を強いる。かたやカリフォルニアはといえば、458に較べれば高めの着座位置に加えて、長いノーズのおかげで、ゆったりした気持ちで運転できる。ステアリングはフェラーリらしく軽くてクイックだから、決して気を抜いて片手運転で流せるわけではないけれど、リラックスしてオープン・エアを満喫できる良さがある。

FERRARI CALIFORNIA  V8サウンドは意外なことに、マゼラーティやアルファ・ロメオのV8よりも図太く豪放なサウンドだ。電子制御式可変ダンパーのおかげもあって、乗り心地は望外に良好。グランド・トゥアラーの面目躍如。ステアリングはシャープだけれど、ハンドリング特性は寛容なそれ。よほど無茶なことをしない限り、安心していられる。

齋藤 458はオープン・エアを楽しむために屋根を下ろすんじゃないよ。エンジン・サウンドを堪能するためだから。ルーフ越しに聞くのとは違って、炸裂するレーシィなフェラーリV8ミュージックにそれこそ包まれるわけだからね。硬くてハイピッチな、いかにもフェラーリっていう音の洪水にね。そこへいくと、カリフォルニアのV8は同じ180度クランクなのに、音の仕立てが違って、もっと図太い音でしょ。アメリカンV8を想起させるような趣すらある。たとえ同じ回転域を使っても、そういう音がする。アメリカ市場を意識した音だという気がする。

村上 パワートレインの味付けも違っていた。直噴V8で、同じブロックを使っていても、458の方が排気量が200cc大きい4.5リッターであるにもかかわらず、より高回転型で、レブリミットも1000rpm高い9000rpmまで回せる。最高出力は110psも高い570psを叩き出す。それに合わせて、7段ツインクラッチ自動MTのギア比も458の方が低められている。車重は230kgも軽いから、ピックアップの鋭さは段違い。そのぶん、運転も難しい。繊細な扱いが要る。少しでもスロットルを戻せば、たとえそれがオーバードライブの7速でも即座にエンジン・ブレーキが効く。その上これはミドシップだから、速くスムーズに走ろうと思ったら、コーナリング時のステアリングとアクセレレーターの操作はきわめて繊細なものが要求される。



齋藤 実際には周到な電子制御支援装置が働いて、怖いことになったりはしないんだけれどね。そこへいくとカリフォルニアにはFRの大らかな寛容性とでもいうのかな、安心感があって、楽に走れる。

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