2023.09.25

CARS

獲得ポイントは昨年の3倍以上 鈴鹿F1でアストン・マーティンF1チームに帯同し、今年の強さを内側から探る

2023年のF1世界選手権シリーズで前半戦の話題をさらったのは、開幕から快進撃を続けたアストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ・ワンだろう。ENGINE WebではモナコGPの会場で行った、チーム・オーナーであるローレンス・ストロールへのインタビューを紹介しているが、この10月22日~24日に開催された第17戦日本GPの会場で、チームに帯同し様々な側面を観察することができた。

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マイク・クラック氏が今季を分析

まず話を聞いたのは、チーム代表を務めるマイク・クラックだ。昨年鈴鹿でインタビューした時は、「(フェルナンド)アロンソの加入はビッグチェンジだ。たくさんの経験があるし、とても速く強いドライバーだからね。とてもハングリーだし。彼は40歳で私は50歳だけど、きっとチームをプッシュしてくれるはずだよ!」と語ってくれたクラックだが、今シーズン好調の要因をどう分析しているのだろう?



序盤はレッドブルに次ぐ2番手だった

「昨年の(コンストラクターズ)チャンピオンシップは55ポイントで7位。それが今年はチャンピオンシップで3位争いして、7回の表彰台を獲得し、200ポイントを獲得しているんだからね。とても強いシーズンと言えると思う。シーズン序盤、僕たちはとても強く、おそらくレッドブルに次ぐ2番手の位置にいたはずだ」

「確かにフェラーリも強かったけど、序盤はミスが多かった。その後メルセデスとマクラーレンは見事にマシンをアップグレードしたと思う。彼らは我々よりも進歩したが、スタート時のベースは我々の方が上だった。私たちは今、開発レースに参加しているんだ。我々の組織はまだ小さい。ライバルは我々が今置かれたような展開に慣れているが、我々はそうではない。僕らは今、チャンピオンシップで再び戦わなければならない段階にいる。それはチームとして学ばなければならないことだ。パーツを持ち寄り、正しい開発を続けるだけでなく、ミスをしないこと。でも常に100%でいることがプレッシャーになる。チームとして、このプレッシャーにどう対処するかを学ぶ必要がある」



本当に素晴らしい場所

彼のいう通り、第8戦スペインGP以降、好不調の波が激しいように感じられる。その打開策として期待されているのが、5月にシルバーストーン・サーキットの側にオープンした新しいファクトリーだ。

「5月に新しいファクトリーに引っ越したんだ。本当に素晴らしい場所、キャンパスだよ。しかしながら新しい建物はまだ第1段階。最新の風洞施設、シミュレーターなどまだまだ建物は増えていく予定だ。そして各セクションが1箇所に集約できたことでコミュニケーションも大きく改善された。パーツのロジスティクスもずっと簡単になった。来年からさらにスタッフも増える予定だし、より良いパフォーマンスを作るためにさらに前進する良いステップだと思っているよ。でもまだ多くのハードワークが必要であり、本当に実現するためにはステップを重ねる必要があるのも事実だ。例えば開発時間の短縮とか、製造能力の拡大とかね」



100%でないときに挑戦してくる

では今シーズン、チームリーダーとしての存在感も増しているアロンソの存在は、どういうものなのだろうか?

「僕らには2人の巨大なドライバーがいる。ランス(ストロール)とフェルナンドだ。2度のワールドチャンピオンに輝き、30勝以上を挙げ、多くの経験を積んでいるフェルナンドが持っているのは勝つこと、うまくやることへの意欲と集中力だ。これがチーム全体を動かしているんだ。フェルナンドは僕らが100%でないときに挑戦してくるし、僕らも彼が100%でないときに挑戦している。その相乗効果が功を奏しているんじゃないかな」



ホンダがベスト

そしてアストン・マーティンと聞いて、もう1つ気になるのが2026年からのホンダとのジョイントだ。

「我々がホンダを選んだのは、彼らがベストだからだ。きっと2026年にも最高のエンジンを作ってくれると確信している。パワーユニットとの組み合わせも有利になると思うし、レギュレーションも将来的には我々にもっと良くなるだろう。そのため我々はワーキンググループを立ち上げているところだ。自分の役割に集中し、アイデアがあれば、協力し話し合えばいい。非常にオープンな関係だよ。これからの2年間はその準備期間としてとてもいい一方で一番重要なのは守秘義務だ。現在それぞれ別のパートナーがいるからね」



ドライバーがうらやましい

では、この週末の鈴鹿をどう戦うつもりなのか、聞いてみた。

「鈴鹿に来ると、ドライバーがうらやましくなる。アップダウンがあって、クイックで、左、右、たくさんのコーナーがある素晴らしいサーキットだからね。ランスはシンガポールで酷いクラッシュに見舞われたが、肉体も精神的な調子もいい。金曜に少し長い距離を走らせてみたが、マシン、ドライバーともに問題はなかった」

「AMR23は開幕当初は良いマシンだった。でも、今は5番手から4番手くらいのポジションにいる。だから目標は予選3番手に入ることだ。予選3番手に入るためには、すべてを100%出し切らなければならない。もしかしたら雨が降るかもしれないし、そこにチャンスがあるかもしれない。でもすべてにおいて重要なのは、僕らが可能な限りのチャンスを生かして懸命に戦うことだ。とにかく2台揃ってポイントを取ることができたら最高だね」

土曜の予選ではアロンソが辛くも10位に入り、今年唯一の連続Q3進出記録を更新。一方のストロールは17位でQ1敗退を喫してしまった。そして迎えた24日の決勝ではアロンソ、ストロール共に見事にスタートでポジションアップを果たし、一時は6位、11位を走行していたものの、マシントラブルでストロールはDNS。アロンソはアルピーヌに手こずりながらも8位入賞を果たした。

「僕たちはあきらめてはいない。このあと、まだ6つのレースがあるし、スプリント・レースも3レースある。チームとして新しいパーツやアップデートがあるし、開発も進んでいく。鈴鹿以降も、さらなる上位を狙ったレースをしていきますよ」



文=藤原よしお 写真=藤原よしお、Aston Martin Aramco Cognizant Formula One、Aston Martin Lagonda Limited

(ENGINE WEBオリジナル)

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