2024.08.22

CARS

ゴルフよりも運転するのが楽しい? アルファ・ロメオ・ジュリエッタに2013年に追加された豪華モデルのクラシカは、どんなコンパクト・ハッチバックだったのか

アルファ・ロメオ・ジュリエッタに加わったクラシカ

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ご存じ中古車バイヤーズ・ガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の過去の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている人気企画の「蔵出しシリーズ」。今回は、2013年10月号に掲載されたアルファ・ロメオ・ジュリエッタのリポートを取り上げる。当時、輸入車Cセグメントで、唯一のイタリア車として息巻いていたジュリエッタに加わったニュー・カマー、クラシカのロードテストだ。このクルマはガチンコのライバルのゴルフを返り討ちにすることはできたのか。

魅力的なモデルが揃うCセグメントの輸入車たち

今、日本市場で最もホットなカテゴリーのひとつがCセグメントの輸入車だ。フォルクスワーゲン・ゴルフVII、メルセデス・ベンツAクラス、ボルボV40といった話題のニューモデルたちの登場によりマーケットが活性化したのがその要因。実際に、販売も好調で、新たに加わった3モデルには長いウェイティング・リストが出来ているという。

インパネはほぼスプリントのまま。ただし、化粧パネルの意匠が異なる


もちろん、既存のモデルも彼らの快走をただ指をくわえて眺めているわけではない。新グレードの追加や改良により商品力を高め、追い風に乗ろうと必死だ。日本で買えるイタリア唯一のCセグメント・カーであるジュリエッタもこの機を逃すものかと、今年に入って相次いで新グレードを投入している。その最新モデルがクラシカだ。

人気の装備を満載

クラシカはベーシック・グレードのスプリントをベースに、タン色のレザー・シート、電動調整+ヒーター機能付きフロント・シート、バイキセノン・ヘッドライト、シフトパドル、17インチのタイヤ&アルミホイールなどを追加。いずれもユーザーが「あったらいいな」と切望する装備ばかりだ。そのなかで垂涎なのはシフトパドル。スポーツ・サスペンションが備わる上級モデルには標準装着されていたが、ノーマルの足と組み合わされるのはこのモデルが初めて。あとで付け足すことができない装備だけに標準化は朗報だ。

新型ゴルフに負けていない

16→17インチへと1インチ・アップされたタイヤ&ホイールとパドルシフト以外、基本的に走りに関する装備や機能はスプリントと変わらない。サスペンションはジュリエッタ・シリーズでは最も柔らかい“ノーマル”仕様が装着される。

タン色のレザー・シートの採用により、ラグジュアリーさが強調された。スプリントよりもワンランク上のクルマに見える。掛け心地は革の厚みを感じるカッチリとしたもの。前席には電動調整とヒーター機能が追加されている


専用のスポーツ・サスペンションが装着される最上級モデルのクアドリフォリオ・ヴェルデ(QV)がもたらす痛快な走りもかなり魅力的だ。ステアリングを操作した瞬間にほとんどロールすることなく鼻先がコーナーの内側へ吸い込まれるように入っていく。その様は時が経つのを忘れてひたすらワインディングを攻めまくってしまうほどご機嫌だ。Cセグメントにもホットハッチが数多く存在するが、QV以上に刺激的なのはレーシングカー・スペックを持つメガーヌRSと3.0リッター直6ターボ+FRのBMW135iくらいではないだろうか。

スプリントに対して1インチ・アップ。“丸”を周囲に配したアルファ・ロメオお得意のデザインはクラシカ専用


一方、クラシカのノーマル足はQVとは別の魅力を持つ。とにかくしなやかで、コーナーをヒラリヒラリといなすように旋回していく。ロールを適度に許すのだが、速度、量ともにしっかりコントロールされているから不安は一切感じない。むしろ、横Gやヨー(クルマが自転しようとする力)の発生が緩やかなので、QVよりも肩に力が入らず心地いい。タイヤは1インチ・アップだけでなく幅も広くなっているが、そのネガは感じなかった。全体的なグリップ力が向上した分だけタイヤからの入力が大きくなっているからなのか、サスペンションがスプリントに比べてよく動き、さらにしなやかさを増した印象だ。ワインディングに限って言えば、走行性能はゴルフVIIを凌駕している。そして何より、ゴルフよりも運転するのが楽しい。

ボディ・カラーはクラシカの追加を機に全グレードに新設定された“メタリック・レッド”。ワインレッドのような濃いめのメタリックで、これまでのアルファ・ロメオの象徴ともいえる真っ赤な“アルファ・レッド”とは異なる大人な装いになる


足回り同様、パワートレインはスプリントと同じ1.4リッター直4ターボのマルチエア+ツインクラッチ式6段自動MTを搭載。制御の見直しにより、得意とする中高回転域での変速がよりスムーズになった。ただし、最近のエンジンとしては低回転域のトルクが細いのに加え、またクラッチを守っているためなのか、停止時もしくは微速時でもたつく点は要改善だと思った。

シンプルすぎてちょっと素っ気なさすら感じたスプリントに対して、レザー・シートやバイキセノン・ヘッドライトなどでプレミアム・ブランドとしての華やかさが加わったクラシカ。得意の走りでもさらなる磨きが掛かり、新型ゴルフが誕生した今も、ジュリエッタが最良の選択のひとつであることに変わりはなかった。クルマは走ってナンボと思っている人には、とくにオススメだ。

文=新井一樹(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦

■アルファ・ロメオ・ジュリエッタ・クラシカ
駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4350×1800×1460mm
ホイールベース 2635mm
車両重量 1400kg
エンジン形式 直列4気筒SOHC 16Vターボ過給
排気量 1368cc
ボア×ストローク 72.0×84.0mm
最高出力 170ps/5500rpm
最大トルク 25.5kgm×2500rpm(ダイナミック・モード)
トランスミッション ツインクラッチ式6段自動MT
サスペンション(前) マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ (前)通気冷却ディスク/(後)ディスク
タイヤ (前後)225/45/R17
車両本体価格 348万円



【おまけリポート】イプシロンの真骨頂、100台限定の“パープル”にも乗ってみた!
1994年にデビューした初代イプシロンがオシャレで小粋なコンパクト・カーとしてその名を轟かせることになったきっかけは、斬新なデザインもさることながら、“カレイドス”と呼ばれるカラー・コーディネイトにあったと言っていいだろう。ボディ・カラーは100種類以上。インテリアもいくつもの色や素材を組み合わせることで、自分だけのイプシロンを手に入れることができたのだ。今年の春に追加されたパープルはまさにその流れを汲んだモデルである。とくにブラックとベージュの2トーンで構成されたインテリアの出来映えは絶品。イプシロンのオシャレ度がさらにアップ。「ほかのコーディネイトも見てみたい!」と思わせる秀逸なものだった。

(ENGNE2013年10月号)

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