2023.12.01

CARS

【保存版】4つのタイヤをバランスよく生かして走る、これぞアルファ! マニア垂涎の60年代のクラシック・アルファ5台にイッキ乗り!【『エンジン』蔵出しシリーズ アルファ・ロメオ篇】

ジュリア・スーパーTIをはじめ、SZやGTAなど、垂涎クラシック・アルファにイッキ乗り!

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雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は、2013年のアルファ4Cの国際試乗会の会場となったアルファ・ロメオのテストフィールド、“バロッコ”で試乗した、1960年代、戦後のアルファ・ロメオが迎えた黄金期のキラ星たち、ジュリア・スーパーTIをはじめ、SZやGTAなど、いまや垂涎の的となっているクラシック・ヒーローを次々に走らせた2013年12月号のリポートを取り上げる。

「アルファ・ロメオの聖地、バロッコ・プルーヴィング・グランドで1960年代を駆け抜けたクラシック・アルファ5台を走らせた バランスこそ、命!」ENGINE 2013年12月号

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「とっかえひっかえ試乗する前」に引っ張りの写真撮っちゃうから隊列組んでついてきてくれ。位置は手で合図するから上手くやってくれよ」と、フィアット本社が手配した手際のいいイタリア人のオフィシャル・カメラマンから声がかかった。要するに写真のあがりのよしあしは僕ら次第って言いたいわけね。こっちは年がら年中そればっかりやっているんだから御安い御用だ。彼のアシスタントが運転する500Cを追いかけて、試乗コースに入った。"ミスティーノ・ディ・デゥラータ"(直線と曲線からなる耐久試験路の意)はピスタ・アルファの内側にある短めの周回コースである。

1963年 アルファ・ロメオ・ジュリア・スーパー TI


キャンバス・トップを開け放って後席に立つカメラマンの指示に反応しつつ1周毎に先頭を入れ替えて、計5周することになる。時間が惜しいから、その間はドライバー・チェンジはしないという段取りだ。

僕はクルマ選びに躊躇して一瞬遅れ、SZやGTAではなく、ジュリア・スーパーTIのステアリングホイールを握っている。すくっと気持ちよく立ったピラーはどれも細く、外がよく見える。室内は広々。ふんわかしたシートも気持ちいい。スライドを調整するだけでピタっとくるポジションがすぐに出たから、自信をもって走らせられる。

戦後、量産メーカーに転じたアルファの小型セダン路線はジュリエッタでヒットを飛ばし、続いたジュリアで大きな成功を収めた。戦後のアルファの黄金期を支えた立役者だ。TIスーパーはその高性能モデル。


なにせムゼオ・クラシコ・アルファ・ロメオ所蔵の逸品である。コンディションは最上。もう心は、ヴィヴァ、アルファ! てなものである。ツインチョーク・ウェバー・キャブレター2基を備えた1570cc4気筒は、軽やかに、朗らかに、甘い声で歌っている。長いシフト・レバーで操るマニュアル・ギアボックスもコクッ、コクッと滑らか至極。ちょっと回転を上げてやれば、ピックアップ性能もなかなかのものがある。そして、なにせクルマが軽い。現役当時は決して軽量級ではなかっただろうが、いまのクルマのへヴィ・ウェイトぶりに慣れっこになってしまった身には、まるで裸で走っているかのような爽快感がある。

どこまでも深くロールして路面を離さない脚が、いまでも通用しそう。


コーナーリングも麗しい。ゆっくりと深く深くロールを許しながら、細っこい4つのタイヤを優しく使い、路面にしがみつくかのようにして走る。ほぼ水平に通ったロール軸はロールが進行しても騒がしくならない。動きが静かだ。この流れるような滑らかさときたらどうだ。いいなぁ。心許なくなるほどに細いリムをもったステアリングホイールを、指でつまむよう持ち、スルスルと送りハンドルで操作しながらコーナーを抜けていく時間は、まるで夢でも見ているかのように心地がいい。

ハッ、と気づいた

引っ張りの撮影が終わると、次から次へと乗り換えて、短いコースを1周ずつ走った。ジュリア・スーパーの後継機種とでもいうべき1750TIは動きがそっくり。個人オーナーの協力でこの日乗れることになったクルマなのだけれど、これまた素晴らしいコンディションで、アルファの60年代のベルリーナが欲しくなった。当時のアルファはライバルを寄せ付けない高性能車だったから、いま乗ってもいいと感じるのだろうか?

1969年 アルファ・ロメオ 1750 TI

1965年 アルファ・ロメオ・ジュリア GTA

続いてジュリアGTAに乗ると、やっぱりこれも動きが似ている。そして、さらにずっと軽やかだ。クーペのボディ・パネルをアルミニウムに置き換えて軽さ際立つGTAは速い! いまのクルマとは速さの流儀が違うけれど、こっちの方が気持ちいい?

SZコーダ・トロンカにはさらにびっくり。身軽なことでは随一。僕より歳上なのに、ヒョイヒョイとコーナーを抜けていく。

さらに旧い2000スポルティーヴァで走り始めて、ハッと気づいた。流儀が同じだ。前後バランスが素晴らしい。脚を上手く使い、4つのタイヤをバランスよく生かして走る。これこそ、アルファなのだ。

文=齋藤浩之(ENGINE編集部) 写真=Fiat Automobiles S.p.A.

(ENGINE2013年12月号)

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