2024.07.02

CARS

重力を再定義したスーパーカー アヴェンタドールLP750-4スーパーヴェローチェは、どんなランボルギーニだったのか? 「ニュル・ラップタイム、25秒短縮」の衝撃!

アヴェンタドールLP750-4スーパーヴェローチェにバルセロナ、カタロニア・サーキットで試乗!

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リア・ウイングは3段階調整式

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一体、どんな魔法を使えばそんなことが可能なのか。いや、魔法でもなんでもない。答えは大きくいって3つある、というのがチーフ・エンジニアであるレッジャーニ氏の解説だった。まずは、自然吸気V12のバルブ・タイミングやインテーク・システムを最適化してパワーを50ps増強しながら、その一方でカーボン・パーツを多用して車重を50kg軽くしたことによるパワー・ウエイト・レシオの向上。次に、フロント・ウイングやアンダーパネル、リア・ディフューザー、リア・ウイングの追加ないし最適化によるエアロダイナミクスの向上。そして最後に、可変ギア・レシオのダイナミック・ステアリング・システムや磁性流体を使った可変ダンパーの導入などによるドライビング・ダイナミクスの向上。ノーマルのアヴェンタドールとは、まるで違うクルマだと言うのだ。



中でも特に重要だと思われるのが、試乗会のキャッチフレーズにもなっているエアロダイナミクス、すなわちダウンフォースの増強だろう。実際、SVがこれまでのアヴェンタドールより遥かにアグレッシブな外観を得ることになったのは、エアロダイナミクスに関連するパーツの変更によるところが大きい。フォーム・フロム・ファンクション。まさに機能がカタチをつくっているのだ。

リア・ウイングは手動式で3段階に調整できるのだが、ダウンフォースは真ん中の状態でノーマル車に比べて170%増加しているという。今回の試乗車はこの設定だった。ちなみに、ニュルでは一番低くしてあったのだとか。それでもダウンフォースはノーマル比145%増だ。ただし、この設定ではリアよりフロントにやや多くダウンフォースがかかるというから、オーバーステア方向のハンドリング特性になるだろう。

路面に吸いつくように走る

それはともかく試乗車でサーキットを走り始めると、飛ばせば飛ばすほどに路面に吸いつくように感じられるのがまず印象的だった。驚異的な安定感だ。軽量化したというけれど、そう思えるのはゆっくり流している時だけで、少し右足に力を込めて速度を上げると、むしろ重厚感あふれる乗り味になる。重力の再定義とはこの感覚を言うのか、と思った。
新たに導入された可変ダンパーのおかげで路面の変化への追従性も格段に増しているようで、常に路面とパラレルな状態を保っている。今回は試すことができなかったが、一般道での乗り心地も格段に改善されているに違いない。ニュルでのタイム短縮にも、このしなやかになった足が大きく貢献しているはずだ。



エンジンは高速域での伸びやかさが明らかに増している。中回転域の圧倒的なトルクの奔流はそのままに、それがそのまま高回転域まで途切れることなく持続していく感じで、全体的にフレキシビリティが増していると思った。それは排気音からも感じられた。野太い低音が響き渡るのは不変だが、その音質はより洗練されたものになり、高速域で素晴らしいバリトンを聞かせるのだ。

もうひとつ特筆すべきは、とにかく良く曲がることだろう。ステアリングを切り込んでいくと、グイグイとノーズが内に入っていく。コルサ・モードはもちろん、スポーツ・モードでもリアが積極的に出て行こうとする気配があるのに驚かされた。低速コーナーではダウンフォースの変化が大きいから、慣れが必要だ。

全体として感じたのは、速くなっただけではなく、確実に洗練されたスポーツカーへの道を歩んでいるということだ。次はぜひ公道での乗り味を試してみたいと切に思った。

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=ランボルギーニS.p.A

■アヴェンタドールLP750-4スーパーヴェローチェ
駆動方式 ミドシップ縦置きフルタイム4WD
全長×全幅×全高 4835×2030×1136mm
ホイールベース 2700mm
車両乾燥重量 1525kg(前47%:後53%)
エンジン形式 V型12気筒DOHC48バルブ
排気量 6498cc
ボア×ストローク 95×76.4mm
最高出力 750ps/8400rpm
最大トルク 70.4kgm/5500rpm
トランスミッション 7段自動マニュアル
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ(前後) カーボン・セラミック製通気冷却式ディスク
タイヤ (前)255/35R20、(後)355/25ZR21
車両本体価格 5179万2353円(税込)

(ENGINE2015年8月号)

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