2024.02.21

CARS

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輸入車燃費トップスリーを独占するルノーの燃費No.1モデル! アルカナ・アントラクト E-TECHフルハイブリッドに、モータージャーナリストの佐野弘宗が試乗!!

ルノー・アルカナの最新モデル、アントラクト E-TECHフルハイブリッド。

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やや一段落したとは言え、長期的に高止まり状態が続くガソリンの価格。こうなると俄然気になるのが燃費である。というわけで、輸入車No.1の燃費を誇るルノーのハイブリッド車のなかから、見て良し、乗って良し、もちろん燃費も良しのアルカナ・アントラクト E-TECHフルハイブリッドに乗って、ルノーが考える燃費と走りについてリポートする。試乗したのは走りと燃費にうるさいモータージャーナリストの佐野弘宗だ。

最近のクルマはみなデキがいいから困る!?

ルノーといえば、お洒落レジャーカーのカングー、あるいは世界最速FFの名をほしいままにしてきたメガーヌR.S.など、日本では趣味性の高いクルマで好事家を魅了してきたブランドだ。しかし、今のルノーはもうひとつ、「燃費」でも一目置かれる存在になっている。

ボディ・カラーは撮影車の赤系のルージュフラムM、青系のブルーザンジバルM、黒色のノワールメタルM、白色のブランペルレMの4色。




というのも、この2023年現在、ルノーはなんと輸入車の燃費トップスリーを独占しているのだ。現在の輸入車燃費No.1に君臨するのは、WLTCモード燃費で25.2km/リッターをうたうルーテシアE-TECHフルハイブリッド(以下、E-TECH)。それに続く同率2位で、22.8km/リッターのアルカナE-TECHとキャプチャーE-TECHの2台がならんでいる。お察しのとおり、この2台は必然的に「輸入SUV燃費No.1」ということにもなる。

昨今の物価高は社会に多大な影響をおよぼしているわけで、私が身を置く自動車メディア業界も、とくにガソリン価格の高騰には無関係ではいられない。クルマをあつかう仕事なので当然なのだが、最近は昔以上にガソリン価格に敏感にならざるを得ない事情もある。

というのも、最近のクルマは輸入車、国産車を問わずにデキがいいからだ。私がこの仕事をはじめた頃=20〜30年前なら、そのクルマの長所や短所は少し乗っただけでも分かった。たとえば、ドイツ車は高速重視だけど市街地の乗り心地は硬めで、日本車は逆に低速では快適だけど高速は安定しない……とか。そしてフランス車であれば、高速でも低速でもまるで生き物のように吸いつく、しなやかなフットワーク……といった具合いだ。





しかし、クルマ技術が極限まで進歩して、市場もグローバル化した結果、現代のクルマは国籍もブランドも関係なく、即座に指摘できる欠点などほぼなくなったといっていい。ちょっと乗っただけでは「どれもいいクルマですね〜」としかいえないのが現実だ。それは世の中的にはとても良いことなのだが、われわれのような職業の仕事は非常に困る(笑)。

それもあって、個人的には1台の試乗取材に費やす時間や走行距離は年々増えている。いかに優秀な最新モデルでも、たくさん乗れば、それなりに見えてくることもある。しかし、試乗距離が増えると、当たり前だが、ガソリン価格の高騰もさらに骨身に染みるのだ。

「クルマは乗ってナンボ」とは使い古された表現だが、最近あらためて、それを実感するになった。ルノーは伝統的に乗れば乗るほど真価を発揮するタイプだったが、今でいえばアルカナE-TECHがその典型といえる。

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94ps/148Nmの1.6リッター直4に49ps/205Nmの駆動用モーターと20ps/50Nmの高電圧スターター&ジェネレーター(HSG)を内蔵したクラッチ・レスの自動変速機を組み合わせたE-テック・フル・ハイブリッドを搭載。

世界屈指のテストルート

今回連れ出したのは、アルカナE-TECHの「アントラクト」。クルマとしての機能や走りにまつわる部分は最上級の「エンジニアード」は共通ながら、よりシックな装いと割安な価格が魅力の新グレードだ。その試乗取材の行先も、あえてド定番の小田原〜箱根にした。マンネリといわれて返す言葉もないが、都心から東名高速をひた走り、多彩なコーナーがそろうワインデングをめぐるルートは、今も昔も世界屈指のテストコースというほかない。

ルノーのE-TECHは、1.6リッターエンジンと2つのモーターを組み合わせたフルハイブリッドシステムである。より簡便なマイルドハイブリッドや、逆に重厚長大なプラグインハイブリッドが主流の欧州車にあって、日本の環境にどんぴしゃのフルハイブリッドの輸入車は、じつは貴重な存在でもある。

そういえば、ルノー(現在はアルピーヌ名義)が長年取り組んでいるF1のパワーユニットも今は一種のフルハイブリッドだ。E-TECHもそんなF1技術から着想したそうで、レーシングカーでお馴染みの「ドグミッション」を使うのが、最大にして独特の特徴である。



そんなE-TECHはエンジン駆動、モーター駆動、エンジンが発電に徹するシリーズ駆動、そしてエンジン+モーターが強調したパラレル駆動……と、あらゆるパターンを状況に応じて自在に使い分けながら走る。ドグミッションというと、クルマに詳しい人ほど強烈な変速ショックを連想するかもしれないが、そこは精密なトルク制御ができるモーターのおかげで、実際のE-TECHは変速していることすら気づかないほど滑らかに走る。E-TECHは市街地から高速まで、アルカナを力強く快適に走らせてくれるが、高速道でがぜん輝きを増すあたりは、さすがは欧州で鍛えられたハイブリッドと感心する。

ルノー・ジャポンはE-TECHを使った燃費チャレンジ企画を、われわれメディア向けに何度か開催している。その経験からすると、アルカナE-TECHで日本の高速道路を制限速度内でゆったり走っていると、WLTCモード燃費を軽く超える25km/リッター、場合によっては30km/リッターの大台に近い燃費をシレッと記録することも少なくない。



低速燃費は優秀だが高速では意外に伸びないタイプも少なくない日本製ハイブリッドと比較すると、E-TECHの高速燃費には素直に驚く。ちょっと専門的になるが、E-TECHはエンジン側4速、駆動モーター側2速のドグミッションが互い直結されており、その間にはクラッチは存在しない。じつは機構自体は驚くほどシンプルで効率が高いE-TECHは、専門家ほど舌を巻くらしい。

アルカナは市街地だけで乗っていると、終始フラットな姿勢を維持する。その剛性感あふれる乗り心地はいかにも現代的だが、昔ながらのフランス車的な味わいとはちょっと異なる。しかし、東名高速を走り終えて、箱根でも屈指の高速ワインディングであるターンパイクに乗り入れると「これぞルノー!」とヒザを叩きたくなる。過酷なワインディングでクルマへの入力が強まるほど、アルカナE-TECHのアシはどんどんしなやかに、正確さと一体感が増してくるのだ。

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ガソリン代でランチ!

最近はコスパに加えて「タイパ」も重視される時代。今回もターンパイクをひとっ走りしたらすぐに帰るつもりだったのだが、アルカナE-TECHの走りの気持ちよさに、その先の伊豆スカイラインまで思わず足を伸ばしてしまった。こういう起伏の大きなワインディングでは、アルカナの卓越した操縦性に加えて、エンジンとモーターが絶妙に助け合って全域でレスポンシブなE-TECHが心強い。



最初はランチ前に帰京するつもりだったのに、予定外に箱根を走り回ったせいで、すっかり遅くなってしまった。そこで、今回はわれわれの業界では「箱根取材のごほうびランチ」の定番でもある、小田原だるま料理店の天丼としゃれこんだ。世界的にも有名なリゾート地域でもある小田原や箱根には食の名店も多く、ランチの選択肢には事欠かない。これもまた、箱根周辺が世界屈指のテストコースとして重宝される理由かもしれない?

東京に戻って給油するとと、今回のアルカナE-TECHはかぎりなく20km/リッターに近い平均燃費を記録していたことが分かった。アルカナは燃費的に有利とはいえないSUVであり、しかも過酷なワインディングを遠慮なく走りまくったことを考えると、これは望外に優秀な燃費というほかない。ランチで予定外の出費となった今回の取材だったが、ガソリン代が予想を下回ったことで、経費はなんとか予算内におさまりそうだ。結果オーライ。アルカナE-TECHに感謝である。

文=佐野弘宗(モータージャーナリスト) 写真=望月浩彦

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(ENGINEWEBオリジナル)

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