2025.05.26

CARS

スーパー・スポーツ・セダンここにあり! こんなアルファは二度と登場しないだろう【エンジン・アーカイブ「蔵出しシリーズ」】

2018年に日本に上陸したジュリアのフラッグシップ、クアドリフォリオ。前期型はご覧のように現行とはヘッドライトのデザインが異なる。

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もうすぐ新車では買えなくなるアルファ・ロメオのスーパー・スポーツ・セダン、ジュリア・クアドリフォリオ。日本に初上陸してエンジン編集部員総出で試乗した熱い座談会リポートに続いて、その後、ちょっと冷静になって改めて少人数で試乗した記事も蔵出ししよう。ジュリアが新車で買えるのもあと少しだ!

ENGINE 2018年6月号「ジュリア・クアドリフォリオはアルファ・ロメオ復活の狼煙」

後輪駆動に回帰して生み出されたアルファ・ロメオの新生ジュリア。その頂点に置かれた超高性能もでるが“クアドリフォリオ”だ。動力性能は超一級。そして、その振る舞いは懐かしいものだった。



齋藤 10連発の9番目に登場するのは、4ドア・モデル。アルファ・ロメオ・ジュリアのクアドリフォリオ。後輪駆動に回帰したアルファ・ロメオが放った自信作のシリーズ頂点に位置づけられたクルマです。

村上 このクアドリフォリオは驚いたことに、普通のジュリアとは乗った感じがまるで違うクルマだよね。走りの方向性は同じなんだけれど、その出方の違いに面食らう。4気筒を積む普通のジュリアは街で走らせても、とにかく乗りやすくて、素直で気持ちのいいクルマだけれど、クアドリフォリオはけっこうこれ見よがしなところがある。アクセルペダルをちょっと踏めばバンっと出るし、ブレーキはガンっと効くし、最初はびっくりしたよ。ちょっと前にジュリアを特集した時には、いきなり山道で乗ったから感じなかったのかもしれないけれど、今回は編集部を出て、箱根まで走らせたでしょ。街中から始まった。慣れるまではギクシャクして、運転がいきなり下手になったかのように感じた。駐車場から出るのも大変だったよ。

齋藤 4気筒のジュリアは本当に優れたオールラウンダーだからねぇ。とりわけその後輪駆動モデルは。

村上 ステアリングのクイック感も凄くてさ。いつもの調子で切ると、ギャッと曲がる。

新井 ステアリングホイールを15度くらい切った辺りからクイック感、ダイレクト感がビッと跳ね上がる。

村上 昔のハイ・パフォーマンス・カーみたいに感じた。

ひと目でアルファ・ロメオだと分かるジュリア・クアドリフォリオのインテリア。大径のアナログ指針式2眼メーターが真正面に鎮座するスタイルは遠い昔から引き継がれてきたもの。


齋藤 その昔流行った“スーパー・スポーツ・セダン”だね。新生ジュリアはフィアット主導の前輪駆動プラットフォーム・ベースの提案が、再進出が悲願となっている北米市場からノーと言われて、FCAのボスのセルジオ・マルキオンネの鶴の一声でもって、FR回帰のオールニューで行くことになって生まれたものでしょ。北米市場、ひいてはすべての輸出市場で倒すべきは、BMWやメルセデス、とくにスポーティ・セダンの雄として名を馳せるBMWの3シリーズなわけだよね。3シリーズにはM3があって、CクラスにはC63AMGがある。

真っ向勝負を挑む以上、これらも打倒しなければならない。販売台数はともかくとして、クルマの中身でね。となれば、キレた高性能モデルが絶対に要る。それで生まれたのがジュリアのクアドリフォリオ。M3は直6の3リッターツインターボで後輪駆動。ならばこちらもフェラーリ特製のV6ツインターボで後輪駆動。そもそもジュリア自体が、そのサイズや前後イーブンの重量配分、あるいはシャシーの構成にしても、仮想敵が3シリーズなことは見え見えなわけでさ、FCAはそういう物言いはしていないけど、つまりはそういうことなわけだから。


塩澤 だよねぇ。当然そうなる。

齋藤 でね、高性能モデルは後から追加などと言っていたら、「また腰が引けちゃって」みたいなことを言われるわけでしょ。でもFCAには多気筒エンジンはマセラティ用のV6とV8があるだけ。M3に一泡吹かせようと思ったら少し弱いわけだよ、開発余剰代まで見込むと。ならばフェラーリに作らせればいい、となって、V8ツインターボから2気筒削ったV6を開発させた。その昔、アルファ・ロメオから生まれたフェラーリが、今度は親を助ける側になったことになるのかな。ストーリーとしても申し分ない。なにせ世界に冠たるスーパー・スポーツ製造メーカーたるフェラーリ謹製だもの。

シートはサイド・サポートが大きく張り出した専用のものとなる。日本に輸入されているのは8段AT仕様のみ。6段MT仕様は入ってきていない。


新井 いきなり510馬力で登場して、ニュルブルクリンク北コースでセダン最速記録樹立ですからね。サーキット走行に軸足を置いて開発された現行M3への挑戦状ですよね。C63AMGはAMG・GTにも使っている4リッターV8だから、ポテンシャルはいちばんかもしれないけれど、少なくともセダンのC63AMGのクルマ全体の仕立てはサーキット走行に焦点を合わせたものにはなっていない。アルファ・ロメオにとって、とにかく大願は、打倒M3。

齋藤 だからジュリアはプラットフォームだけじゃなくて、ボディもシャシーも気合入りまくり。ボディなんかほんと素晴らしいデキだよ。3シリーズが5や7との共用を考えない専用設計なのに対して、ジュリアのそれは、上のクラス、サイズの来るべきモデルでも使うことが前提のプラットフォームやシャシーだから、内容的には3と5のいいとこどりみたいなことになっている。お金がかかっている。そういう背景があるから、2リッター直4を積む普通のジュリアがいっそう素晴らしいものになった。

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