2023.11.18

CARS

23歳の筆者には価格はまったく身近でないけれど、いつかこんなクルマで大冒険旅行をしてみたい! 若手編集者が6台のベントレーに袖ケ浦フォレストレースウェイで試乗!!

フライングスパーSで大自動車旅行をしてみたい!

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ベントレーが媒体の若手編集者を対象に開いた試乗会で、今ある6台すべての広報車の走りをサーキットで試す機会を得た。袖ケ浦サーキットを走らせてわかったベントレーの魅力とは? エンジン編集部のムラヤマがリポートする。

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味付けの技がすごい!

ベントレーの6台すべての広報車に試乗できると聞いてやってきたのは袖ケ浦サーキット。用意されていたのは、コンチネンタルGTCアズールと、フライングスパーが「ハイブリッド」「S」「スピード」の3台、ベンテイガが標準モデルの「オデッシアン・エディション」とロング・ホイールベース版の「EWBアズール」で、計6台。パワートレインは2種のV6エンジン+モーター、V8、W12とバリエーション豊かだ。



早速6台を見て回る。まずどのクルマにも共通する魅力だと思ったのは、とびきり上品な設えのインテリアだ。すべてにハンドクラフトのような繊細さを感じさせるレザー張りのインパネやドアトリム、ダイヤモンド・カットが施されたスイッチ類に、いかにも精緻な印象の中央の3連メーター。すべてが厳選された素材を組み合わせた工芸品のような趣でありながら、決してこれみよがしなところがないのである。

外観も同様だ。いずれも一貫したデザイン・コンセプトで仕上げられたフロント・マスクは、どのモデルも堂々とした風格がありつつエレガントなもの。さらに私が唸らされたのは、その味付けの妙である。例えばフライングスパーに注目すると、メッキがあしらわれた高貴な印象の「ハイブリッド」と、もっともスポーティな「スピード」、その間を取った「S」では、印象がそれぞれまるで違う。ベースは同じデザインであるにもかかわらず、素材や細かな意匠の違いでここまで異なるキャラクターを創れるのは、基本デザインが完成されているからに違いないと思った。



むろん、これは内装にも言えるし、さらには走りにも味付けの妙があった。結論から言うと、6台の中でもっとも私が走りに惚れ込んだのはフライングスパーのSだ。どのフライングスパーも、乗り心地の良さや足さばきのしっとり感、ハンドリング、重厚感のバランスが、他のモデルより優れていると感じた。そして、何より驚いたのはフラットライド感だ。コーナリングやブレーキングで強めの荷重を掛けても、前後左右の姿勢変化が極めて少ない。4輪の接地感が常に保たれ、スポーティな走りにもしっかり応えてくれるのだ。

走りに惚れ込んだSは、内外装のカラーのマッチングも素晴らしいと思った。引き締まった印象のスピードの内装とも全然違う印象だ。


なかでも「ハイブリッド」は、全面にウッドパネルが配されたインパネからイメージした通り、走りも落ち着いていてスムーズかつなめらかである。一方、W12エンジンのきめ細やかさが際立つ「スピード」は、ひとたび右足を大きく動かせば、底なしのトルクで思い切り路面を蹴飛ばす力強さを持つ。どれも魅力的だけれど、とりわけV8エンジンの「S」は、前の2台に比べ鼻先が軽やかでよく曲がり、潔く吹け上がるエンジンの気持ちよさが格別に感じられた。

6台に乗ってわかったベントレーの凄みは、どれも走りの良さとラグジュアリーを高い次元で両立していることだ。その上で、絶妙なさじ加減によって、幅広い味わいを持つクルマに造り分けることができるのだから、これには脱帽した。今回はサーキットでその走りを味わえたから、次の機会があれば、グランドツーリングで試してみたいと思う。

文=村山雄哉(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦

(ENGINE2023年12月号)

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