電気自動車が本流になる時代が来ても、変わらないものもある。内燃エンジンの魅力。振動と音を伴い、徐々に回転を上げながら途方もない力を生み出す精密な機械。そのひとつひとつに味と個性があり、私たちクルマ好きを虜にしてきた。いま、クルマの未来を考えるとき、EVと同じように改めて内燃エンジンの魅力を語るべきだと思い、未来に残したい内燃機関を搭載する、独、米、伊、英、4ブランドのマルチシリンダー・エンジン搭載モデルに乗り、モータージャーナリストの大谷達也氏とエンジン編集部の村上、荒井、上田、村山の5名でその魅力をテーマに座談会を行った。今回は、第一弾のポルシェ911GT3、第二弾シボレー・コルベット、第三弾ランボルギーニ・ウラカンに続き、最後の一台、ロールス・ロイス・ファントムを取り上げる。◆【その1 ポルシェ911GT3篇】から読む場合はこちら!別世界のロールス・ロイス荒井 12気筒はロールス・ロイス・ファントム・シリーズIIです。
上田 23歳のムラヤマくん、ずいぶんファントムが気に入ったようでしたが、どうでしたか?村山 人生初のロールス・ロイスが、エンジンを搭載した最後のロールス・ロイスになるかもしれないわけですが、なんか、まったく別物のクルマだなあと思いました。大谷 たしかに、今回のラインナップでは異色の存在ですよね。村山 それもそうなんですが、先週、たまたまベントレーの広報車を一気乗りする機会があったんです。そのとき乗ったベントレーと比べても、まったくの別物だと思いました。荒井 ほう。どう違ったわけ?村山 ベントレーもたしかにとても静かだし、乗り心地もしなやかなんですが、ロールス・ロイスは自分がこれまで知っていた「クルマのマップ」には存在しない、圧倒的に別世界にある乗り物を体験したって気がしました。上田 雲上人、神の世界、みたいな?村山 そうですね。たとえばエンジンの主張が、まるで感じられないというか、ものすごく遠くにあるような気がしたのは意外でした。でも、よーく感覚を研ぎ澄ませると、発進とか加速のときに、本当に遠くのほうで、それもメチャクチャ滑らかというかきめ細やかに回っているのが感じられて、これはものすごく気持ちいいって思えるようになりました。大谷 そう、ロールス・ロイスって、基本的にはエンジンの存在が感じられないんだけれど、必要なところではしっかりと主張するように、意図して作られているんですよね。
村山 それで、これは素晴らしいクルマだと感じました。あと、編集部の近くにいま工事中で路面がずっと鉄板で覆われている区間があって、そこを走るたびにいつもわずらわしいと思っていたんですが、今朝、同じ道をロールス・ロイスで走ったとき、車内に入ってくるロードノイズの入り方とか、身体に伝わってくるわずかな振動みたいなものが全然違って、すごいと思いました。
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