2024年冬の時計特集のテーマは、「アイディアル・ペア~理想の2本を探せ!~」。自宅のガレージに絶妙な組み合わせのクルマを2台並べるように、時計も2本ペアで選ぶのが大人の時計好きの楽しみ方だ。今回は、編集部が信頼する時計ジャーナリストと目利きたちで結成したエンジン時計委員会のメンバーのみなさんに、組み合わせの妙を楽しむ時計の選び方を指南してもらった。
ケース径、文字盤カラー、インデックス、時・分・秒針の形状……。今回ご紹介する2本のモリッツ・グロスマンの日本限定ウォッチは見事に対照的。「ARABIC INDEX」×「ROMAN INDEX」のペアは、どうしても2本持ちたくなる!
◆ARABIC INDEX
セントラルセコンド ジャパンリミテッド
ブランド初のセンター秒針モデルは、ステンレススティールのケース、ダイアルに際立つホワイトのアラビア数字や針、クーズーレザーを手縫いで仕上げたブラウンのストラップなど、従来とはひと味異なるスポーティな味わいが特徴。また、設計から機能や細部まで、徹底してこだわり抜いた自社製ムーブメントは絶品。このブラックダイアル仕様は日本のみ、ブティック限定3本の超貴重品だ。手巻き。ステンレススティール、ケース直径41mm。445万5000円。◆ROMAN INDEX
テフヌート36 シルバーフリクション ジャパンリミテッド
ドイツ、グラスヒュッテの時計師グロスマンが19世紀に製作した懐中時計に通じるクラシカルなダイアルに、古典的なシルバーフリクションコーティングを施した日本限定モデル。これは、銀の細粒と塩を含む粉に少量の水を加えブラシでダイアルに擦りつけ、コーティングを加えて仕上げる技法。伝統に則りすべて手作業で作られたダイアルは、しっとりとしたマットな質感が独特の魅力を放つ。手巻き。ステンレススティール、ケース直径36mm。限定30本。396万円。
◆エンジン時計委員が指南! これが「モリッツ・グロスマン」のペア選び◆
東京一美しいプロムナードで モリッツ・グロスマンの美学が知りたいなら、播磨坂へ行くといい。時計ブランドのフラッグシップといえば銀座だが、グロスマンの店は文京区小石川にあるのだ。播磨坂は東京一美しいプロムナードである。片側2車線の中央と両脇に広々とした緑地が設けられ、120本にも及ぶ桜が植えられている。しかしその長さは460メートルしかない。戦後環状3号線として企画されたが、その後の都市開発で頓挫してしまったのだ。モリッツ・グロスマン・ジャパン社長工藤光一氏は、グロスマンの時計と播磨坂に惚れ込んで、開店を決意したという。大人のカップルが、さり気なく腕を絡ませながら歩くのに、こんなに相応しい場所(と時計)はないと思えるのだ。(「THE RAKE JAPAN」編集長・松尾健太郎さん)温故知新の奥深さが味わえる 今年はポルシェ911のプロトタイプ(タイプ901)発表から60周年を迎えた。時代の変化にも技術革新で応え、根本思想は変えない。そこが名車たる所以だろう。そんなドイツらしいモノづくりで通じ合うのがモリッツ・グロスマンだ。センターセコンドの初採用に当たっては、プレートなどの厚みを調整し、ムーブメントのパーツを同じ高さに揃えた。さらにリュウズに関わるトラブルを回避するプッシャー機構も装備する。そしてブランドのオリジンともいえるモデルでは、19世紀の懐中時計をモチーフに、文字盤のシルバーフリクションコーティングを再現。失われつつある手作業による伝統技法を継承する。温故知新の奥深さが味わえる2本だ。(時計ライター・柴田 充さん)問い合わせ=モリッツ・グロスマン ブティック Tel.03-5615-8185
写真=近藤正一
(ENGIN2024年1月号)
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