2023.11.25

CARS

どう見ても未来のGT-Rでしょw 日産が未来のEVスーパースポーツを示唆する、ハイパーフォースをお披露目

111万2000人という予想の100万人を1割以上も上回る来場者を記録し、閉幕したジャパン・モビリティショー2023。数多くの出展車の中でも大きな注目を集めた1台がこの「日産ハイパーフォース」だ。日産はショーにおいて、デジタル展示と呼ばれる映像のみの出展を含め、4台のコンセプト・カーを出展することを明らかにしていたが、このハイパーフォースは第5のサプライズ・モデルとしてショー開幕当日にその存在が明らかになった。

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GT-Rにしか見えない

日産はその関係性を否定するが、ハイパーフォースはエクステリアを見てお分かりの通り、未来のGT-Rを予感させる電気自動車=バッテリーEV(BEV)のコンセプト・モデルだ。フロント・グリルの中央に配された光るドットで作られたエンブレムは赤、白、黒の発光体で構成されていて、どこにもGT-Rと記されていないのだが、遠くから見るとGT-Rのエンブレムにしか見えない。



歴代スカイラインのモチーフを採り入れる

フロントまわりのデザインもR34型スカイライン以降のGT-Rを思わせ、リアには「ケンメリ」こと4代目スカイラインに採用されて以来、スカイラインの伝統的要素になった丸型4灯のテールライトを配置している。

ドアは前方へ跳ね上げるバタフライ・タイプで、日産による次世代の高性能スーパーカーという謳い文句にマッチしたスタイルを持つ。その開口部からうかがえるように、車体はカーボン素材を主体とし、シートベースはフロアと一体化している。ホイールもカーボン製で、軽量化と高強度化、空力、ブレーキ冷却の性能向上を実現する。



システム総合出力は1360ps!

全体的なスタイリングのモチーフは、1980年代のグループ5規定のレース・マシンである「スカイライン・スーパーシルエット」であることは明らかだ。後輪の直前にはスカイライン・スーパーシルエットのベース・モデルである6代目R30型「スカイラインRS」を思わせる金色のレタリングが入る。

そこに記された「ASSB」は全固体電池、「アドバンストE-4ORCE」は駆動系に用いる4輪制御技術の搭載を表している。そして、もうひとつの記述である「1000kW」はモーターが発生する1360psの高出力を示している。



可変エアロパーツを導入

そのハイパワーを活用するための空力に関してはニスモのレーシングチームと共同開発。ボンネット下は2段に分かれ、強力なダウンフォースと高い冷却性能の両立を図り、サイド・ウインドウ後部から導入した空気はトランク・リッド上部で整流する。ディフューザーは日産初採用の二重構造だ。

フロントのカナードとフェンダー・フリップ、リア・ウイングはアクティブ制御で、空気の剥離を抑える新開発のプラズマアクチュエーターと組み合わせることで、旋回時に内輪が浮き上がるのを可能な限り軽減してグリップ力を最大化する。



モード毎に表示を切り替える

インテリアはポリフォニー・デジタルと共同開発したグラフィカル・ユーザーインターフェースを採用。ドライバーが最も望む情報を瞬時に表示し調整できるとともに、走行モードによりライティングを変化させることができる。

たとえば、通常走行向けの「GT」モードでは、照明が青く光るとともに、運転席周辺の液晶パネル
には空調やオーディオ、脚まわりのセッティングなどが表示される。また、サーキット走行も想定した「R」モードでは赤く照らされ、運転席周辺にはタイヤ4輪の温度や空気圧、ブレーキ・ローター温度、駆動力配分をリアルタイムで表示。なおいずれの走行モードでも、サスペンションとスタビライザーの調整は世界初のシステムにより画面上の容易な操作で直観的に行えるという。



停車時にはシミュレーションに早変わり

さらに、ARおよびVR体験ができる専用ヘルメットを用いれば停車中に運転シミュレーターに早変わり。サーキットにターゲットとなるゴーストを表示し走行体験することで運転スキルを磨くこともできるという。

そのほか、運転支援装備として自動運転技術も採用。スポーツ・ドライビングだけでなく快適な移動も可能にする。

今回、日産がモックアップとデジタル映像で提案した5台のショーモデルは、いずれも研究途上の全固体電池を前提としており、その点では現実味が薄いが、スタイリングやインターフェースには興味深い点も少なくない。いつ、なにがどこまで商品化されるのか、今後の展開を見守りたい。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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