2023.12.23

CARS

クルマ好き垂涎のブランドが終焉 【主筆ライター関が選ぶ、2023年の10大ニュース、第9位】

「ENGINE WEB」では、試乗記をはじめ、ライバル比較やクルマ好きの著名人のクルマ人生を紐解く企画など、数多くのクルマ関連記事を掲載している。その中でも軸となるのが「自動車ニュース」。新型車の紹介などをはじめ、2023年は450本以上に及ぶ話題を取り上げてきた。今回は2023年にお届けした自動車ニュースの中から主筆を務める関 耕一郎氏に10大ニュースを選出してもらった。その第9位は?

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40余年の歴史に幕を閉じる

2023年に私がENGINE WEBで文字に書き起こした約460本の自動車関連ニュースから、気になる10本をピックアップ。9位は玄人好みなスポーツモデル・ブランドの終焉だ。



ルノー・スポールの最終モデル発売

ルノーは東京オートサロン2023で、「メガーヌR.S.」の限定車である「ウルティム」の日本導入を発表した。これが「ルノー・スポール」の最後モデルとなる。

ルノー・スポールは1976年に設立。F1をはじめとするモータースポーツ活動のほか、レース車両やルノーの市販スポーツ・モデルの開発と製造を手掛けてきた。F1は2002年から「ルノーF1チーム」に移行していたが、そのほかのルノー・スポールの業務と活動も2021年にブランド統合した「アルピーヌ」が担うこととなる。



ニュルFF最速争いの火付け役

メガーヌR.S.といえば300ps/400〜420Nmのパワーもさることながら、この上なくナチュラルなフィールの4輪操舵が生む胸のすくようなハンドリングでも多くのドライバーを虜にしてきた現代の名車だ。

さらに、メガーヌR.S.はニュルブルクリンク市販前輪駆動(FF)最速争いの火付け役としても有名だ。2008年に2代目メガーヌをベースにした初代メガーヌR.S.の限定モデル「R26.R」で8分16秒90というタイムをニュルブルクリンク北コースで記録。その後、「ホンダ・シビック・タイプR」や「セアト・セアト・クプラ」、「フォルクスワーゲン・ゴルフGTI」が挑み、その座を争った。



マニアを唸らす名車がズラリ

メガーヌR.S.以外では、ホモロゲーション・モデルとして製作されたものの、予定の3倍近い台数が販売される人気を得た「クリオ・ウィリアムズ」や、FFのハッチバックをミドシップ化した「クリオR.S.V6」など、ホットハッチの歴史に燦然と輝くモデルを多数送り出している。また、オリジナルのオープンモデルである「ルノー・スポール・スパイダー」もマニアから熱い視線を集めたモデルだ。

日本では、メガーヌの販売台数の大半をR.S.が占めるなど、厚い支持を集めたルノー・スポール。その精神はアルピーヌへ継承され、電気自動車=バッテリーEV(BEV)で復活する「ルノー5」の高性能版などが登場するとの噂も聞こえてくるが、勇ましいエグゾースト・ノートに包まれながら味わった最後のメガーヌR.S.は驚異の旋回性能とともに忘れられない記憶になるだろう。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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