2024.02.02

CARS

BMW120iカブリオレって、実際乗るとどうだったのか?「こんな中古車が欲しい!」 【『エンジン』蔵出しシリーズ/BMW篇】

BMW120iカブリオレ

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中古車バイヤーズガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回のBMW篇は、 3リッター直6を押し込んだ135iクーペに続いて120iカブリオレに試乗した2008年6月号のリポートをお届けする。


唯一のプレミアム・オープン・モデル

試乗会基地の葉山マリーナを出て左に曲がると、右手に日影茶屋、左手にラ・マーレ・ド・茶屋。もうちょっと行くと左手に海の見えるデニーズがあって、去年、清水草一さんとマリオ2等兵と来たことがあった。マリオ2等兵は清水草一さんの事務所の青年の愛称。ここは湘南。縁遠い。私は「コンパクト・セグメントにおける唯一のプレミアム・オープントップ・モデル」であるところのBMW120iカブリオレの幌を開けてユルユルと走りながら、ついキョロキョロしてしまうのであった。

1シリーズの予告篇だったCS1コンセプト・カーを思わせるサイド・ビュー。フラットなショルダー・ラインは3のカブリオレとも共通する。


渚橋の交差点を右に曲がると逗葉新道で、その道は横浜横須賀道路につながっている。平日の昼ひなかにオープン・カーで横浜横須賀道路を南に向かうオレはどういう仕事をしているひとなのだろう。サラリーマンではないだろう。奥さんはいるんだろうか。海が見える家に住む未亡人の恋人とかいたりして……なんてことを想像する。ここは横横。東京に仕事場があって、湘南に家がある。その逆もステキだろうなぁ。

120iカブリオレは、1シリーズのクーペやハッチバックとは違って、明らかにボディがユルかった。そのユルさが私に夢想を許すのかもしれなかった。120iカブリオレは、3シリーズのカブリオレと較べるとユルさを許容しているようにも思われた。いまやBMWはZ4、3シリーズ、6、それにこの1、とカブリオレ王国である。系列のロールズ・ロイスにはドロップ・ヘッド・クーペがあり、ミニにはコンバーチブルがある。大小カブリオレづくりのノウハウも十分である。それなのにユルい。想像するに、カブリオレはカタすぎてはいけない、という新たな境地にBMWは達したのではないか。悟りを開いた。乗り心地も1シリーズにあっていちばんソフトな部類に属する。

全長×全幅×全高=4370×1750×1410mmのボディ・サイズは、2660mmのホイールベースも含めて135iクーペと同一。タイヤは16インチが標準ながら、テスト車は17インチの前後異サイズを履いていた。標準タイヤだったら、乗り心地はさらにやさしくなるだろう。1シリーズはビルド・クオリティが初期型よりグッと上がった


120iカブリオレは最近のBMWの中で異色の、優しいクルマだ。路面のうねりに対して、サスペンションとボディが協力し合い、ボディがしなうような感じでうねりに追随する。ものすごくユルいわけではなくて、心の隙を許すように、ちょっとだけユルい。


マスタングV6コンバーチブルより安い!

ウィンドスクリーンは現代のクルマとしては立っていて、圧迫感は皆無。前後サイド・ウィンドウを上げ、ウィンド・ディフレクターを立てれば、風は100km/hでもそよそよと頭上を通り過ぎるのみ。

434万円という価格なりか、幌はちょっとビニールっぽいファブリックながら、開閉はスイッチを押すだけの全自動。開閉時間は22秒で、車速が40km/hぐらいまでなら開けられる。リモート・キーのボタンを押し続けることでも幌を全開できる。残念なことに閉めることはリモコンではできない。

生地の材質のせいか骨組みのせいか、なんとなくマスタングとの近似性を感じさせる。


試乗時間の制約もあって幌を閉じては運転していない。クローズド状態でリアに座ってみると、大人がちゃんと座れる広さがあった。434万円という価格は、マスタングV6コンバーチブルの460万円や、ボルボC70の475万円よりお求めやすい。

車重は1530kgと、135iクーペ並み。5ドアの120iは1390kgだから、それより140kg増ということになる。車検証の前後輪荷重は740:790kg、つまり48対52で、トランスアクスルのフロント・エンジン車みたいな重量配分である。葉山周辺をゆったり流しただけなので、ハンドリングについては不明だが、少なくとも不満はなかった。2リッター直4DOHCは最高出力156ps/6400rpm、最大トルク20.4kgm/3600rpmを淡々と発生するのみ。6ATの変速プログラムものんびりしているように感じたのは気のせいか。

唯一あったらいいな、と思うのはアクティブ・ステアリングだが、自分で買うとなればなくてもいい。なければないで、1クラス上の安心感がある。ただ、ついていたらどんな感じか、ちょっと知りたいだけなのであった。


文=今尾直樹(ENGINE編集部) 写真=佐藤正勝

(ENGINE 2008年6月号)

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