2024.01.24

CARS

ラングラーやグランド・チェロキーは、どんなジープだったのか? 恐るべきジープの実力を雪上で体験! フルラインナップに試乗【『エンジン』蔵出しシリーズ・ジープ篇】

2014年モデルのジープ・ラングラー・アンリミテッド。

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雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は2014年冬に長野県白馬で開催された雪上試乗会のリポートをお送りする。道なき道を物ともしない2014年のジープ・ブランドの各モデルたち。日本の雪道では、どのような走りを見せたのか。


10種類の4WDを使い分ける

イギリスのランドローバーと並んでSUV界のドン的存在、ジープ。最近は得意とする悪路走破性はもちろんのこと、乗り心地や扱い易さなど実用性にも磨きを掛けた結果、どこでも使える優れた万能車となりつつある。そんなジープの各モデルは日本の雪道ではどうなのかを知る恰好の機械が与えられた。



東京でグランド・チェロキーを借り出す。白銀の長野県白馬を目指した。グレードは3.6リッターV6にエア・サスを組み合わせたリミテッド。

まず驚いたのはオン・ロードでの快適さだ。とくに高速道路のクルージングは特筆もの。大排気量エンジンと8段という多段ATの相乗効果により加速は思いのまま。エア・サスのおかげで道路の継ぎ目を踏んだときの衝撃は小石を踏んだ程度でしかない。白馬までの250kmはあっという間に過ぎていった。

以前より内装の質感はかなり向上した。8.4インチのタッチ・スクリーンは標準だが、ナビ機能はオプション

リミテッドには革シートが備わる

試乗会は日本列島を震撼させた大雪の前だったので、残念ながら雪は少なめだった。それでも雪のある山の中へと足を伸ばし、グランド・チェロキーをはじめ、ラングラー・アンリミテッドやコンパスなど、様々なジープをとっかえひっかえしながら、雪上を駆け巡ってみた。

さすがはジープ、どのモデルも雪を物ともせずに走れてしまう。走破能力は申し分ない。面白かったのは、車種や搭載する4WDシステムによって性能や走り味が変わることだ。

たとえば、ジープ随一の走破性能を誇る硬派仕立てのラングラー・アンリミテッド。このモデルは手動切り替え式のパートタイム4WDを採用しているのだが、前後輪がしっかりと繋ぎ合わされるため、轍に足を取られることなく雪の中をガンガン進んでいく。機構が単純なため、クルマの挙動が手に取るようにわかるのは腕利きにとって堪らない長所だろう。





一方、その対極にあるのがジープで唯一、FFプラットホームを用いるコンパス。センター・デフを持たない油圧多板クラッチ式オンデマンド4WDは、前輪がスリップしたときだけ後輪に駆動力を伝える。このクルマの長所は扱い易さ。後輪に余分な駆動力が掛からないので、オーバー・ステア傾向に陥る危険性が少ないから、ドライバーは常に前輪にだけ気を配っていればよい。

センター・デフに油圧多板クラッチ式作動制限装置を備えるグランド・チェロキーはちょうどその中間。コンパスでは心許ない新雪でもしっかり駆動力を伝える。その一方で、ラングラーでは巧みな操作が必要な難しい路面でも、クルマが適正なトルクを前後に振り分け、高度な運転術を必要とすることなく走り抜けることができる。

アメリカ本国のジープ・オフィシャル・サイトを覗いたら、全6タイプの車種群に対して、4WDシステムはなんと10種類も存在していた。高い技術力や長い経験がジープの強みであることは間違いない。生産合理性という魔物に屈することなく、最高のクルマを作るという意気込みが世界有数のSUVブランドを支えているのである。

王者は一日にして成らず。

文=新井一樹(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦

(ENGINE2014年4月号)

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