2024.02.05

CARS

抱腹絶倒! 自動車評論家の清水草一氏がかつて語ったフェラーリとの出会いとは?【『エンジン』蔵出しシリーズ/フェラーリ篇】」

愛車の328GTSと清水草一さん。

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中古車バイヤーズガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は、約35年前に初めてフェラーリに接し衝撃を受け、1993年に348tbを購入。「フェラーリは芸術、宗教だ!」と悟りをひらき、“大乗フェラーリ教開祖”となった清水草一氏が、来し方行く末に思いを馳せた2008年12月号の記事をお送りする。今回ばかりは中古車ガイドにはなりませんが(笑)、抱腹絶倒の清水草一的フェラーリ讃歌です。

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「嗚呼、わがフェラーリ・ライフ! 7台の跳ね馬とともに駆け抜けてきた、15年間の自動車生活」ENGINE 2008年12月号

そういえばフェラーリはイタリア車だ。しかし私にはもはや、フェラーリがイタリア車だという意識はない。あえて言えば人類車。民族や自動車の枠をはるかに超えた、人類の宝に他ならない。それは他の自動車とは決定的に次元の違う、地上唯一の自動車芸術なのである。

80年代までのスーパーカー、スポーツカーのアイコン “リトラクタブル・ヘッドランプ”がカッコイイ! 


私がフェラーリと出会ったのは、約20年前。『サーキットの狼』の作者である池沢さとし先生の担当編集者となり、先生のテスタロッサを運転させていただいた時だった。

私は生来大変慎重かつ地味な男で、「羊の皮を被った狼」みたいなクルマを愛していたが、テスタロッサの高貴極まりない爆裂サウンドが、そういった矮小なむっつりスケベ趣味を木っ端微塵に粉砕した。

「世の中にはこんなものがあったのかぁ!」

芸術はバクハツだ! という岡本太郎先生の言葉も、フェラーリを知ってようやく理解できた。細かいことはどうでもいい。信頼性なんかクソクラエ。芸術には性能もない。そこには感嘆と畏怖だけがある!!

フェラーリの魂、フェラーリエンジン。それが発するサウンドやビートは、居住性はもちろんのこと、コーナリング性能やブレーキング性能、そしてついには加速性能すらどうでもよくしてしまう。この高貴な芸術とともに走ることの歓びが、ありとあらゆる些事をバックミラーの後方に置き去りにする。前方には、ただひたすら極楽浄土が待っている!

といっても、実際買ってみるまでは、彼方に待っているのは地獄だろうと覚悟していた。

生涯最初のフェラーリ。当然一生乗るつもりで購入。直進安定性が極悪で200km/hを超えると臨死体験が待っていたが、リア・タワーバーの装着でかなり改善されることを発見。すべてが歓喜だった。


バブル崩壊から約3年後、中古フェラーリ価格は暴落を続け、ついに自分の郵便貯金残高がそれを追い越した時。1993年7月、私は1163万2800円にて、90年式348tbを購入した。人生を捨てる覚悟を持って。

が、実際買ってみると、フェラーリに於いては、一般的認識による地獄(故障等)すら極楽であることを知ったのだ。そこは、ただひたすら歓喜しかない、宗教的法悦の世界だった。

断食も修行も苦行もすべて極楽。まさかと思うだろうが本当だ。フェラーリに於いては、すべてが甘美な陶酔、甘い蜜なのである。

これまで書いたフェラーリ関連著書は12冊。コーナーストーンズのショウルームでも売ってます。


これは間違いなく宗教だ。極楽浄土のヨロコビに浸りつつ、客観的事実とのズレを認識した私は、これを“大乗フェラーリ教”と命名した。大乗とは、フェラーリのすべてを受け入れ歓喜とする境地のことである。逆にまたフェラーリは、大金持ちだけでなく、我々庶民をも救ってくださる偉大な乗り物、「大乗=マーハヤーナ」でもあった。

以来現在にいたるまで、15年間で7台のフェラーリを乗り継いでいるが、そのたびに私の確信はますます強固な裏付けを重ねている。戦車からフォーミュラまであらゆる乗り物に試乗し、また多くのフェラーリを知れば知るほど、確信は深まっていく。

それは、地球上で最も素晴らしい乗り物はフェラーリであるという真実だ。

コーナーストーンズの一角に、大乗フェラーリ教祭壇がある。「フェラーリを買えばシアワセになれる」という信仰を深める場所。中央のはにわは憑代(よろしろ)。


しかも、フェラーリが与えてくださるヨロコビは、車種や年式を問わず平等だった。それは、経済力の問題により購入できていないスペチアーレに関しても恐らく同じ。なぜなら、究極には階級がないからだ。究極=フェラーリはすべて涅槃。私がフェラーリを買い替えるのは、より多くの経典を読み、修行を深めたいという思いゆえにすぎない。


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