2024.03.04

CARS

これがアバルト500eツーリズモ・カブリオレに乗った自動車評論家、生方聡、森口将之、松田秀士のホンネだ!「アバルトがEVになったら面白みは半減する? 心配はするだけ無駄だった!」

アバルト500eツーリズモ・カブリオレ

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今年もやりました「エンジン・ガイシャ大試乗会」。2024年、大磯大駐車場に集めた注目の輸入車36台にモータージャーナリスト36人が試乗! 2023年暮れに上陸したアバルト初となる100%電気自動車、アバルト500eに乗った生方聡さん、森口将之さん、松田秀士さんのホンネやいかに?


「身も心もシビれる」生方聡

輸入コンパクト・スポーツのなかでいま一番勢いを感じるのが、フィアット500をベースとした一連のアバルト・モデルだ。

ファーストカーというよりは、セカンドカーとして、ふだん乗るクルマよりも身軽に小気味よいドライブが楽しめるクルマである。大人のドライバーにとって、まさに元気の素といえる存在だ。「でも、アバルトがEVになったら面白みは半減するのでは?」という不安を抱いていたが、そんな心配はするだけ無駄だった。



スポーツシートに身を委ね、キャンバストップを開け放てば、そこはすでに非日常の空間。聞き慣れた“レコードモンツァ”の排気音が再現されているのも斬新だが、それ以上に最高出力114kW、最大トルク235Nmのモーターが生み出す強烈なダッシュ力に身も心もシビれ、ルーフから侵入する風がその興奮をさらに加速してくれる。

わざわざワインディング・ロードに足を伸ばさなくても、日常の中で元気がもらえる一台なのである。同乗したEPC会員も、走り出した瞬間に目が輝きはじめ、EVの楽しさをシェアできたのは、うれしい経験である。



「失ったものは少ない」森口将之

電気自動車なのにお尻から響いてくるデロデロサウンドが、オープンにしたことでどうなるか気になった。結果は上々。リアウインドウまで開け放つと、背後から届いてくる感じが、昔のリアエンジンのアバルトを思わせる。リアウインドウを立てると控えめになって、むしろ閉めたほうが堪能できるけれど。

駆動は前輪なのだが、ガソリン車のアバルトのようなフロントヘビーではなく、バッテリーのおかげで低重心にもなっているので、乗り心地はひょこひょこした揺れが抑えられて重厚になったし、ハンドリングもバランスがアップした。リアからはちゃんと音が聞こえてくる。電動化しても失うものは少なく、逆に得るものが多い。

これまでアバルトが多用していた赤をあっさり捨て去り、ブルーとイエローをテーマカラーにしたことにも感心した。ボディはもちろん、インテリアはメーターやセンターパネル、シートのステッチを2色使いにしている。アバルトらしさとEVらしさを絶妙にミックスしたコーディネートで、この色だけで欲しくなる。

インテリアのデザインはフィアット500eに準ずる。ただし、黒いレザーとアルカンターラを大胆に用いることによって、よりスパルタンな印象を与える。


「身体の一部のよう」松田秀士

まずはその可愛いエクステリア・デザイン。見ただけで元気になる。アバルト500eって、まずドライバーの想像力を掻き立てるクルマだ。アバルトといえばサソリのロゴだが、EV化によってデジタルなデザインに生まれ変わっている。革新の電気サソリなのだとか

コックピットに座ると、まずピタリと体にフィットするシートがこれから始まるエキサイティングな世界を予感させてくれる。ドライビング・ポジションも満点だ。ただでさえコンパクトな車体は、運転席に座るとさらにコンパクトに見え、すべての性能を引き出せて自分の身体の一部のように感じられるようになる。

感動するのがEVならではの超低速からの加速感。力強い。実用高速域に達するのが速い。短いホイールベースながら、自立直進性はしっかりしている。そしてアクセレレーターを煽るたびにレコードモンツァと呼ばれる電子の排気音が! 車内ではなく外に向けてスピーカーから出ている。これまた不思議と元気になるのだ。

カブリオレは電動開閉式ソフトトップを備える。


写真=小林俊樹(メインとサブ)/神村 聖(サブとリア)

(ENGINE2024年4月号)

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