2024.03.01

LIFESTYLE

米アカデミー賞で5部門ノミネート! 夫の転落死の真相をめぐる疑惑の法廷劇『落下の解剖学』

(C)LESFILMSPELLEAS_LESFILMSDEPIERRE

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3月10日に授賞式が行われる米アカデミー賞。今年度も、それぞれに趣の異なる10本が作品賞にノミネートされたが、その中で異彩を放つのが、カンヌを制したフランスの女性監督によるミステリーだ。

一筋縄ではいかない法廷劇

雪に包まれたフランスの山荘で、住民の男性が転落死した。当時、現場に居合わせていたのは、作家である妻と、視覚障害を持つ11歳の息子だけ。これは事故なのか、自殺なのか、それとも他殺なのか? 

昨年のカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝いたフランス映画『落下の解剖学』。今年度の米アカデミー賞でも作品賞、監督賞、主演女優賞など5部門でノミネートされている話題の作品だ。



亡くなった男の頭部に残されていたのは、落下が原因とも、誰かに殴打されたせいとも判別のできない深い傷跡。その状況から検察は、妻を殺人の容疑者として起訴する。フランス中の国民が注視する中、法廷では平穏に見えた夫婦関係の実態、さらに妻のプライバシーまでもが容赦なく晒されていく。

人里離れた山荘、売れっ子作家である妻、彼女に対し劣等感を抱いていた夫、そして被害者の第一発見者となる視覚障害を持った息子と、ミステリー・ファンの想像を掻き立てる要素はすべて揃っている。だが本作にアガサ・クリスティー的な謎解きの面白さを求めるのは違うかもしれない。女流監督のジュスティーヌ・トリエが”解剖”するのは、崩壊していく夫婦関係や、人間が抱える心の闇。一体どこまでが嘘で、どこからが本当なのか。一筋縄ではいかない法廷劇の行方を凝視しながら、濃密な人間ドラマを堪能したい。



■ 『落下の解剖学』 監督、脚本を手掛けたジュスティーヌ・トリエは1978年、フランス・ノルマンディーの港町、フェカンの生まれ。長編映画4作目となる本作は、ナショナル・ボード・オブ・レヴューやロサンゼルス映画批評家協会賞の外国語映画賞にも輝いている。トリエ監督と同様に、世界的な注目を集めているのが、ヒロインを演じるドイツ人女優のザンドラ・ヒュラー。本年度のアカデミー賞で主演女優賞にノミネートされているほか、同じくオスカーの作品賞候補にあがっている『関心領域』(日本公開は5月24日)の主演も務めている。152分、配給:ギャガ。2月 23 日(金・祝) TOHO シネマズ シャンテ他全国順次ロードショー (C)LESFILMSPELLEAS_LESFILMSDEPIERRE

文=永野正雄(ENGINE編集部)

(ENGINE 2024年4月号)

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