2024.03.02

CARS

2024年の注目車、BMW XMに乗った自動車評論家の小沢コージ、佐野弘宗、大谷達也のホンネがこれだ!「遠近法を間違ったかのような『顔面力』は迫力満点!」

XMは面白すぎる!

全ての画像を見る
今年もやりました「エンジン・ガイシャ大試乗会」。2024年、大磯大駐車場に集めた注目の輸入車36台にモータージャーナリスト36人が試乗! BMW Mシリーズの頂点に立つXM。どんなクルマとも似ていない脅威的な存在感。すべてが規格外のスーパーSUVに乗った小沢コージさん、佐野弘宗さん、大谷達也さんのホンネやいかに?


「圧倒的歌舞伎感」小沢コージ

なにこの圧倒的歌舞伎感であり世紀末感!このクルマはゲンダイ社会であり、時代変革期しか生まれ得ないはずだ。

マニア的にはBMW MとしてはM1以来の専用モデルとか4.4リッター V8ツイン・ターボのPHEVシステムはM専用チューンで凄いというが一般にはどーでもいい。

サイズがまず異様で全長5.11mで全幅はほぼ2m、全高1.755m。ホイールベース3m超え。車重ほぼ2.7トンで価格2100万円超え。なにより「顔面力」が極まっており巨大な鼻の如きキドニーグリルは、遠近法を間違ったかのよう。内装も上質メリノ・レザーはもちろんパリかロンドンのアヴァンギャルドなクラブはこんな感じなのか? と思わせる隔世感。

かたや走りはシステム最大トルク800Nmのパワトレに薄皮まんじゅうの如き23インチ・タイヤからは想像もできない洗練度。正直、小沢は10億円の宝くじが当たっても買わないし、この手を買うのは衝撃動画で財をなしたYouTuberだったり、ゲンダイの歌舞伎モノであるはず。その存在をリアルに想像できるだけでもXMは面白過ぎる。




「令和の最新トレンド」佐野弘宗

XMを目の前にすると、絶対に素通りできない。賛であれ、否であれ、だれもがひとこと言わずには立ち去れない。ひと目見た瞬間から、議論が伯仲する。この時点で、BMWがXMのデザインで目指したところは、あらかた達成されたといえるのではないか。

目の前にしたXMで最初に目につくのは、もちろん垂直にそびえる巨大八角形キドニー・グリルだが、もう1つ目が離せなくなるのは、各部の艶消しマット・ゴールド加飾だ。ちなみに、ここをすべてグロス・ブラックにすることもできるという。クルマにゴールド・メッキと聞くと「昭和の成金趣味」を想起する(私を含む)中高年もおられようが、じつはマット・ゴールドとグロス・ブラックのアクセサリーは昭和どころか、令和の最新トレンドらしい。

インテリアはエクステリアほど胸騒ぎはしないけれど、試乗車にあしらわれる使い古された風のコーヒー色ビンテージ・レザーには、中高年オヤジも思わずニヤリとさせられる。XMはもちろん走っても掛け値なしに世界最速級SUVの1台だが、走り出す前から、こうしてしたり顔で語りまくる元気をくれる。




「腰高感ゼロ!」大谷達也

最近のBMWはどれに乗っても本当にいいクルマばかりだけれど、このXMは、ほかのどんなBMWとも大きく異なっているという意味において、彼らの実力が驚くほど奥深く、そして幅広いことを物語っているように思う。

足まわりの設定は潔いくらいハードだけれど、これがさほど不快に思えないのは、きっとボディ剛性が通常ありえないくらい強固だから。しかも、ステアリングの取り付け剛性を始めとして、クルマのありとあらゆる部分が驚くほど頑丈に作り込まれていて、タイヤからの情報を余すところなくドライバーに伝えてくれるとともに、ドライバーの操作を細大漏らさずクルマの動きとして反映してくれる。

さらにサスペンション・レイアウトが巧妙なおかげで、SUVにありがちな腰高感はゼロ。その俊敏で精度感の高いハンドリングは、よくできたスポーツカーを彷彿とするほどだ。V8エンジン+プラグイン・ハイブリッドのパワートレインは瞬発力の鋭さが売り物。敢えてBEVを選ばなかった理由も、その軽快な走りを楽しめばはっきりと理解できることだろう。

現行BMW Mシリーズの頂点にあたるモデルがXM。パワートレインは4.4リッター V8+モーターのプラグイン・ハイブリッドで8段ATを介して4輪を駆動する。最高出力/最大トルクはエンジンが360kW/650Nm、モーターが145kW/280Nm。全長×全幅×全高=5110×2005×1755mm。ホイールベース=3105mm。車両重量=2710kg。車両本体価格=2130万円。

写真=小林俊樹(メイン)、神村 聖(サブ)

(ENGINE2024年4月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement